Microsoft Fabric SQL Databaseとは
Microsoft Fabric SQL Databaseは、Microsoft Fabric のサービスの一つで、Azure SQL Databaseを基盤にした開発者向けのトランザクションデータベースサービスです。
リアルタイムデータ処理、高速なクエリ実行、シンプルな運用管理を実現し、Microsoft Fabric のエコシステムと統合されているため、データ活用の効率を向上できます。
トランザクションデータベースサービスとは
Microsoft Fabric SQL Databaseは、トランザクションデータベースサービスですが、そもそもトランザクションデータベースサービスとは何でしょうか。
トランザクションデータベースサービスとは、データの操作(読み取り、書き込み、更新、削除)を一貫性を保ちながら安全に管理するためのデータベースサービスのことです。
【具体例】
銀行の取引システムでは送金時の「送金元口座の引き落とし」と「送金先口座の入金」を一貫して行う必要があります。もし両方の操作を一貫して行わない場合、引き落としだけが成功したり、入金だけが成功したりするなどして法的・経済的な問題が引き起こされる可能性があるためです。
トランザクションデータベースサービスを利用することで、こうした操作を一連のまとまった処理(トランザクション)として扱い、途中で操作の失敗があれば全てをロールバック(取り消し)することができます。
そのためトランザクションデータベースサービスは、データ整合性を確保し、業務の安全性と信頼性を向上させるために欠かせないものとなっています。
Azure SQL Databaseとの違い
Microsoft Fabric SQL Database は、Azure SQL Database の技術を基盤としています。では、Azure SQL Databaseとはどのようなサービスでしょうか。
Azure SQL Databaseは、Microsoftが提供するクラウドベースのリレーショナルデータベースサービスです。Azureプラットフォーム上で動作し、SQL Serverの機能を基盤に構築されています。
SQL言語で直感的に操作でき、Azure基盤の技術を採用することで、高いパフォーマンスと信頼性を実現しています。さらに、高度なセキュリティ機能も備えています。

Azure SQL Databaseイメージ(参考:Microsoft)
Microsoft Fabric SQL Databaseは、Azure SQL Database の技術を基盤 としており、Azure SQL Database と同様の機能や特徴を多く備えつつも、異なった特徴も有しています。
Microsoft Fabric SQL Databaseの特徴
ここでは、Microsoft Fabric SQL Databaseの主な特徴についてご紹介します。
サーバーレスアーキテクチャと自動スケーリング
Microsoft Fabric SQL Databaseは、サーバーレス設計を採用しているので、サーバーの構築や管理をユーザーが意識する必要がありません。
そのため、インフラの準備や運用にかかる手間がかからなくなり、システム運用が効率化します。
また利用状況に応じて自動的にリソースが調整されるため、効率的で柔軟な運用が可能です。
OneLake との連携
Microsoft Fabric SQL Databaseのデータは、Microsoft Fabricのデータレイク機能であるOneLakeに自動的に複製・同期されます(ミラーリング)。
この機能により、格納されたデータは他のMicrosoft Fabricサービス(例:Data Warehouse、Real-Time Analytics、Data Science)から即座にアクセス・利用することが可能となります。

ミラーリングイメージ(参考:Microsoft)
他の Microsoft Fabricサービスとのシームレスな連携
Microsoft Fabric SQL Database は、Microsoft Fabricエコシステムの一部として、他のサービスと緊密に連携しているため、以下のような機能を利用することができます。
- Data Factory
Data Factoryを使って、様々なデータソースからMicrosoft Fabric SQL Databaseにデータを取り込むことができます。
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Microsoft Fabric SQL Databaseに格納する前の、複雑なデータ変換・加工処理を実行することができます。
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OneLakeに保存されたデータを、データベースのようにSQLクエリで直接操作・分析することが可能です。
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Microsoft Fabric SQL Databaseのデータを使って、機械学習モデルのトレーニングや、予測分析を行うことができます。
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Microsoft Fabric SQL Databaseのデータを、リアルタイム分析に活用することができます。
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Direct Lake モードにより、リアルタイムに近い形でデータ分析やレポート作成することが可能です。
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こうした連携機能により、データの取り込みから、加工、分析、可視化までを、Microsoft Fabric 内で一貫して行うことができます。
既存のSQL開発ツールとの互換性
Microsoft Fabric SQL Databaseは、以下のように既存のSQL開発ツールと互換性があるので、従来のSQL開発環境でスムーズに操作することが可能です。
- SQL Server Management Studio (SSMS) を使って管理や開発を行うことが可能です。(SSMS (SQL Server Management Studio) は、SQL Serverの管理や開発に使われる一般的なツールです。)
- sqlcmd や bcp などのコマンドラインツールにも対応しています。
- T-SQL(Transact-SQL)に対応しており、SQL Serverで使っていたクエリやストアドプロシージャの実行が可能です。
Azure SQL DatabaseとMicrosoft Fabric SQL Databaseの比較
Microsoftでは、Azure SQL DatabaseとMicrosoft Fabric SQL Databaseという2つのクラウドデータベースサービスが提供されています。
ここではそれぞれの機能や用途についてご紹介します。
Azure SQL Database の特徴
Azure SQL Database の特徴は次のとおりです。
- 手動管理の柔軟性
- コンピューティングリソース(vCore・メモリ)を手動で設定し、必要に応じてスケールアップ・スケールダウンが可能です。
- セキュリティやバックアップポリシーを細かくカスタマイズでき、細かい制御もできます。
- 従来のSQL Serverの延長として使用可能
- T-SQLやストアドプロシージャなど、SQL Serverと互換性のある機能を提供しています。
- 既存のアプリケーションやワークロードをAzureに移行しやすいというメリットがあります。
Microsoft Fabric SQL Database (プレビュー) の特徴
Microsoft Fabric SQL Database の特徴は次のとおりです。
- 完全なサーバーレスアーキテクチャ
- コンピューティングリソースは自動管理され、ユーザーが手動で調整する必要がありません。
- 使用した分だけ課金されるので、アイドル時はリソース消費が最小化されます。
- 分析・BI に特化し、Microsoft Fabric全体と統合
- Power BI、OneLake、Spark などのMicrosoft Fabricプラットフォームとネイティブに統合しており、データ分析やBIの作業がスムーズになります。
両者の共通点
両方のデータベースは、次のような特性を持っています。
- エンタープライズ規模の機能
大規模な業務システムに対応する高い性能と豊富な機能を提供します。 - クラウドスケール対応
クラウド環境での高いパフォーマンスと柔軟なスケーラビリティを実現します。 - 共通のSQLデータベースエンジン
Microsoft SQLデータベースエンジンを使用しており、開発者にとって馴染みやすい操作感があります。
活用場面の違い
それぞれの場面で適するデータベースの例は次のとおりです。
異種データを統合し、リアルタイム分析を行いたい場合
リアルタイムのインテリジェンスデータ、Parquet ファイル、マスターデータなど、異なるデータソース間で簡単にクエリを実行したい場合は、Microsoft Fabric SQL Database が適しています。その理由は次のとおりです。
- サーバーレスの自動スケーリング: 必要なリソースだけを効率的に利用可能です。
- Microsoft Fabric OneLake との統合: データが自動的に OneLake にミラーリングされ、他のMicrosoft Fabricワークロードと簡単に共有可能です。
- 複数のデータモデルに対応: リレーショナルデータだけでなく、グラフデータやJSONデータもサポートしています。
- 管理が自律的: データベース管理が簡単で運用負担が軽減されています。
顧客ごとに独立したデータベースを管理したい場合
複数の顧客がそれぞれ独立したデータベースを必要とし、顧客ごとに異なる状況に対応する仕組みが必要である場合は、Azure SQL Database が適しています。
- エラスティックプールを活用可能
各データベースが独立して運用されながらも、リソース(CPU、メモリなど)をプールとして共有できる仕組み(エラスティックプール)によりピーク時間の違いに応じて効率的にリソースを割り当てることができます。 - スケーラビリティ
必要に応じてデータベースのサイズや性能を拡張できるため、顧客ごとに異なるニーズに柔軟に対応することができます。
※現時点では、Microsoft Fabric SQL Database (プレビュー) はプレビュー段階です。
機能・特徴の比較
両者機能の詳細な違いは次のとおりです。
特徴 | Microsoft Fabric SQL Database (プレビュー) | Azure SQL Database |
ベースとなる技術 | Azure SQL Database | Azure SQL Database |
提供形態 | Microsoft Fabric の一部 | 独立した Azure サービス |
コンピューティングモデル | サーバーレス | プロビジョニング済み、サーバーレス |
スケーリング | 自動 | 手動または自動 |
価格モデル | Fabric 容量 | 仮想コア、DTU |
OneLake への統合 | 自動的にレプリケート | 手動で設定が必要 |
他サービスとの連携 | Microsoft Fabric サービスと緊密に統合 | Azure サービスと連携可能 |
管理ポータル | Fabric ポータル | Azure ポータル、PowerShell、Az CLI など |
エラスティックプール | 非対応 | 対応 |
Copilot の利用 | 利用可能 | 利用可能 |
Azure SQL DatabaseをMicrosoft Fabric にミラーリングする方法
Microsoft FabricでSQL Database利用するには ホームリージョンと容量リージョンの両方が対応している必要があります。
しかし、2025年3月現在、日本リージョンではMicrosoft Fabric SQL Database 利用できません。
そのため、本記事では Azure SQL DatabaseをMicrosoft Fabricにミラーリングする方法を紹介します。
この方法で、Azure SQLのデータをOneLakeにレプリケートし、Microsoft Fabric内で分析できるようになります。
ミラーリングとは
ミラーリングとは、Azure SQL Databaseのデータを Microsoft Fabric の OneLake にリアルタイムで複製する技術です。
データ分析のためにゼロETL(データを変換・移動(ETL)することなく)で利用できるため、複雑なデータ変換や移動の手間を省けます。
そのため現在日本リージョンでは使うことができない Microsoft Fabric SQL Databaseの代替として利用することが可能です。
ミラーリングの前提条件
ミラーリングを始めるには、以下の準備が必要です。
- 作成済のAzure SQL Database(作成方法はこちらを参考にしてください。)
- Azure SQL のネットワーク設定でパブリックアクセスを許可(プライベートネットワークは非対応)となっていること
- Microsoft Fabric の容量
- 適切な認証方法(SQL 認証または Microsoft Entra ID(旧 Azure AD))
Azure SQL のミラーリング手順
手順は以下のステップで構成されます。
- Azure サービスを許可
- システム割り当てマネージド ID (SAMI)の有効化
- Fabric ポータルでミラーリングを設定
- Azure SQL Database への接続
- ミラーリングの開始
ステップ1:Azure サービスを許可
まずAzure SQL DatabaseにMicrosoft Fabricから接続するためには、Azure SQLのファイアウォール設定でAzureサービスの許可をオンにする必要があります。
この設定を有効にすると、Azure 内の他のサービス(Microsoft Fabricなど)から Azure SQL Database へアクセスできるようになります。
- Azure Portal にログインします。
- Azure SQL Databaseのサーバーを開きます。
左メニューの「セキュリティ」 >から「ネットワーク」 を開きます。
その後、「パブリックアクセス」タブの「例外」で、「Azure サービスとリソースへのアクセスを許可する」のチェックマークをつけます。
パブリックアクセス画面
ステップ2:システム割り当てマネージド ID (SAMI)の有効化
SAMIを有効化し、Azure SQL Server に対して Azure の他のサービス(例: Microsoft Fabric)が自動で認証できるようにします。
- 同じくサーバーのページから、左メニューの「セキュリティ」 → 「ID」 をクリックします。
セキュリティID画面 - ①「システム割り当てマネージド ID(SAMI)」を「オン」にし、②「保存」ボタンを押します。
システム割り当てマネージド画面 - 作成済のデータベースを開き、①左メニューの「クエリエディター (プレビュー)」を選択します。②ログイン情報を入力します。
クエリエディターログイン画面 - ①クエリ(SELECT * FROM sys.dm_server_managed_identities;)を入力し、実行します。②結果の「is_primary」の値が True になっているかを確認します。
クエリ画面
ステップ3:Fabric ポータルでミラーリングを設定
Microsoft Fabric にデータを取り込むための 「ミラー化された Azure SQL Database」 を作成します。
- Fabric ポータルを開きます。
Fabricホーム画面 - ワークスペースを作成する(ワークスペースの作成方法はこちら)か、既存のワークスペースを選択します。
ここでは既存のワークスペース workspacetest1 を選択しました。
ワークスペース選択画面 - 作成したワークスペースから「+新しい項目」をクリックし、 [ミラー化された Azure SQL Database] を選択します。
ミラー化されたAzureSQLDatabase選択画面
ステップ4:Azure SQL Database への接続
Microsoft Fabric から Azure SQL Database に接続し、データを取得します。
- 「Azure SQL Database」を選択します。
データベース接続画面 - 以下の項目などを入力した後、「接続」をクリックします。
新しいソース画面 - サーバー名
Azure SQL Database の 「サーバー名」を入力します。
Azure Portal で作成した SQL Database の 「接続文字列」 に記載されています。 - データベース名
ミラー化する Azure SQL Database のデータベース名を入力します。 - ユーザー名やパスワード
ユーザー認証情報を入力します。
- サーバー名
ステップ5:ミラーリングの開始
ミラーリングを実行し、Microsoft Fabric にデータを同期します。
- [データの選択] 画面でデータを選択し、「接続」をクリックします。ここではすべて選択しました。
データ接続画面 - 宛先となるAzure SQL Database名を入力し、「ミラー化されたデータベースを作成する」をクリックします。
ミラー化されたデータベースを作成する画面 - 状態が"実行中" になれば成功です。ミラーリングが開始されました。
実行中画面
Microsoft Fabric SQL Databaseのユースケース
Microsoft Fabric SQL Databaseは現在プレビュー段階ですが、今後どのような活用場面で利用できるのでしょうか。
ここではMicrosoft Fabric SQL Databaseのユースケースについてご紹介します。
データ分析とBI
Microsoft Fabric SQL Databaseは、業務システムの最新データをリアルタイムに分析・可視化したい場面に適しているほか、軽量なトランザクション処理や小規模な構造化データの分析にも対応できる柔軟なデータベースです。 Microsoft Azure SQL Databaseのデータをミラーリング機能によりETLなしでOneLakeに即時連携でき、Power BIと組み合わせることで、常に最新の情報をスムーズに可視化・分析できます。
例
- Azure SQL Databaseで管理されている注文データを、ミラーリングを通じてMicrosoft Fabric SQL Databaseにリアルタイム同期。ETLレスで常に最新データが反映され、Power BIとの連携により、売上や在庫の状況の迅速な可視化を実現。
上記の例のように、リアルタイム性が求められる構造化データの活用には、Microsoft Fabric SQL Databaseが適しています。同じMicrosoft Fabric内でも、Data Warehouse は構造化データの大規模な集計・分析に、Lakehouseはログや画像などの非構造データ処理に強みがあります。
サーバーレスの簡単な運用
Microsoft Fabric SQL Database は「サーバーレス」という仕組みを採用しており、従来のようなインフラ管理が不要です。必要なリソースは自動的に増減するので、コストも効率的に管理できます。
例
- 特定の時間帯のみ高負荷な処理が発生する BI システムで、自動スケーリングによりリソースを効率化。
- データベースのインフラ管理に時間をかけず、ビジネス分析や戦略立案に注力。
クロスプラットフォームクエリと連携
Microsoft Fabric SQL Database は Microsoft Fabric の他のサービス(Power BI、Data Factory など)とスムーズに連携しているので、異なるサービス間でデータをスムーズにやり取りすることができます。
例
- Data Factory で収集したデータを Microsoft Fabric SQL Database に保存し、Power BI で可視化。
- Microsoft Fabric OneLake に保存されたデータを SQL Database 経由でクエリし、分析結果を他のサービスに提供。
Microsoft Fabric SQL Databaseの料金
2025年2月1日以降、SQL データベースのコンピューティングリソースとデータストレージはFabricの容量として課金されるため、Fabricの容量を購入する必要があります。
また2025年4月1日以降はバックアップに対する課金も開始される予定となっています。
※本記事に記載されている情報は、2025年3月時点の情報です。変動する可能性があるため、最新情報はMicrosoft Fabricの料金詳細をご覧ください。
Microsoft Fabric SQL Databaseのセキュリティについて
ここでは、Microsoft Fabric SQL Databaseのセキュリティについてご紹介します。
認証
Microsoft Fabric SQL Databaseへ接続するには、Microsoft Entra ID(旧 Azure Active Directory)認証を使います。
Microsoft Entra IDとは、Microsoftが提供するアイデンティティおよびアクセス管理サービスです。他のMicrosoft Fabricサービスと同様にMicrosoft Entra認証を行うことで、ユーザー認証を一元的に管理し、セキュリティを強化することができます。
アクセス制御
Microsoft Fabric SQL Databaseでは、以下の3つの異なるレベルでアクセスを管理することができます。そのため、ユーザーやアプリケーションに対して必要な権限だけを付与することができます。
- ワークスペースロール
ワークスペース(Workspace)とは、Microsoft Fabric においてデータやリソースを整理・管理するための作業エリアのことです。ワークスペースには、ユーザーごとに異なるロール(役割)を設定することができます。
例えば、「管理者だけがデータベースを変更できる」「閲覧者はレポートだけ参照可能」といった権限管理が可能です。 - アイテムのアクセス許可
ワークスペース全体だけではなく、個別のデータベースごとにアクセス権限を設定することも可能です。
例えば、Microsoft Fabric SQL Databaseごとに「読み取り専用」や「編集可能」などの権限を設定や、特定のユーザーだけにアクセスを許可することが可能です。 - SQL のネイティブなアクセス許可
Microsoft Fabric SQL Databaseでは、SQL の標準的なアクセス制御機能(GRANT、DENY、REVOKE)を使って、データベース内の特定のオブジェクト(テーブル、ビューなど)に対する権限を管理することもできます。
また、データベースレベルのロールを設定することで、特定のユーザーやグループにまとめて権限を割り当てることも可能です。
ガバナンス
Microsoft Purviewとは、Microsoftによる企業のデータを一元管理し、安全に活用できるようにするためのサービスです。
Microsoft Fabric SQL Databaseは、Microsoft Purviewと統合されているので、データのガバナンス・リスク管理・コンプライアンス対策を効率的に行うことができます。
例えば、Microsoft Purview の 秘密度ラベルによりデータの種類に応じて適切なラベルを設定し、機密情報を守ることが可能です。
暗号化
Microsoft Fabric SQL Databaseに保存されるデータは、Microsoft マネージドキー(MMK: 自動的にデータを暗号化する暗号鍵)を使用して自動的に暗号化されます。
またデータが転送中の際にも、暗号化通信が行われます。この際、TLS(Transport Layer Security)1.2という、インターネット上でデータを安全にやり取りするための暗号化通信プロトコルが用いられます。
Microsoft Fabric SQL Databaseに関する制限事項
Microsoft Fabric SQL Databaseは、現在プレビュー段階にあるため、いくつかの制限事項が存在します。
こうした制限事項は、今後変更または解消される可能性がありますが、利用の際には注意しましょう。
データベース レベルの制限事項
Microsoft Fabric SQL Databaseのデータベース自体に適用される制約は以下のとおりです。
制限される機能 | 内容 |
変更データキャプチャ(CDC) | データの変更履歴を記録する機能です。 |
Azure Synapse Link for SQL | Azure SQL Database や SQL Server 内のデータをリアルタイムで Azure Synapse Analytics に統合するための機能です。 |
SQL 監査(Audit) | 「誰が何をしたか?」を記録するログ機能 → 監査ログを取得する機能です。 |
Transparent Data Encryption(TDE) | データを保存時に暗号化する仕組みです。Microsoft Fabric SQL Databaseでは、TDEではなく、サービスマネージドキーが使用されています。 |
カスタマーマネージドキー(CMK) | ユーザーが独自の暗号鍵を設定できる機能です。 |
テーブル レベルの制限事項
Microsoft Fabric SQL Database では、テーブルを作成・管理する際に以下の制限があります。
制限 | 内容 |
主キーに使えないデータ型 | hierarchyid、sql_variant、timestamp は主キーにすることができません。 |
LOB(ラージバイナリオブジェクト)の制限 | 1MBを超えるデータは自動で切り捨てされます。 |
インメモリテーブルが使えない | 高速処理向けのメモリ内テーブルは未対応です。 |
フルテキスト インデックスが使えない | 文章検索の高速処理ができません。 |
パーティション操作の制限 | パーティションの交換・分割・統合・圧縮ができません。 |
列レベルの制限事項
SQL テーブルの列名には、スペースや「,;{}()\\n\\t=」の文字を含めることはできません。
可用性に関する制限事項
Microsoft Fabric SQL Databaseは、可用性の面で以下の制限があります。
- 利用可能なリージョン
Azure SQL Databaseは、Microsoft Fabric が利用できるリージョンでのみ使用可能です。詳細については、こちらを参照してください。
※日本リージョンでは2025年3月現在利用することができないので、注意が必要です。 - ミラーリングの制限
Microsoft Fabric SQL Databaseには「ミラーリング(データの複製)」という仕組みがありますが、この機能はミラーリングに対応している Microsoft Fabricリージョンでのみ使用できます。 詳細については、こちらを参照してください。 - プライベートリンクの制限
「プライベートリンク」とは、Azureでデータベースを安全に接続するための仕組みのことです。
Microsoft Fabric SQL Databaseはプレビュー開始時(2023年11月19日)にプライベートリンクを有効にしている場合、使用できません。
その他の制限事項
上記以外にも、特定の領域における制限事項が存在します。詳細は、以下のドキュメントを参照してください。
- Azure SQL Database ミラーリングの制限事項 (プレビュー)
- Microsoft Fabric SQL Database の認証での制限事項
- Microsoft Fabric Data Warehouse の制限事項
- Microsoft Fabric SQL Database のバックアップの復元に関する制限事項
- Copilot for SQL database の制限事項
こうした制限事項を理解した上で、Microsoft Fabric SQL Databaseをご利用ください。
まとめ
本記事では、Microsoft Fabricの新しいトランザクションデータベースサービスである「Microsoft Fabric SQL Database」について、その概要、特徴、セキュリティ、制限事項、そして Azure SQL Database との違いについて解説しました。
Microsoft Fabric SQL Databaseは、Azure SQL Database をベースとしながらも、Microsoft Fabric エコシステムとの緊密な統合や、サーバーレスアーキテクチャによる自動スケーリング、OneLake への自動データレプリケーションなど、多くの独自の特徴を備えています。そのため、データの取り込み、加工、分析、そして可視化までを、スムーズかつ効率的に行うことが可能です。
特に、Data Factory、Data Engineering、Data Warehouse、Data Science、Real-Time Analytics、Power BI といったMicrosoft Fabricサービスと組み合わせることで、データ活用に関わる様々な作業を単一のプラットフォーム上で完結できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
現時点ではプレビュー段階ということもあり、いくつかの制限事項は存在します。その点を考慮した上でも、Microsoft Fabricエコシステムとの親和性や、運用管理の容易さ、コスト効率などの面で優れているため、今後Microsoft Fabricを中心としたデータ分析基盤を構築したい企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。
本記事が、Microsoft Fabric SQL Databaseの理解を深め、皆様のデータ活用戦略の一助となれば幸いです。
東京エレクトロンデバイスは、Microsoft Fabricの導入を支援しています。データ基盤の構築、リアルタイム分析環境の構築、既存システムとの連携など、お客様の課題や目的に合わせて幅広くサポートいたします。
「データ活用を加速したい」「リアルタイムなデータ分析を実現したい」といったご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。




