東京エレクトロンデバイス株式会社

Microsoft Azureコラム

2025/12/17

Writer: 手戸 蒼唯(てど あおい)

Azure の料金体系を解説!サービス毎の例や割引プラン、便利ツールも紹介

Microsoft Azure の料金体系は、クラウドコストを管理するための重要な要素のひとつです。複雑に見える Azure の料金構造も、適切な知識があれば効率的に管理できます。

本記事では、Azure の料金体系の基本から応用まで、包括的に解説します。従量課金制の仕組み、各種サブスクリプションタイプの特徴、主要サービスの料金例を詳しく紹介いたします。さらに、コスト最適化のための割引プランやツールの活用法など幅広くカバーします。


クラウドコストの最適化は、単なる経費削減ではなく、ビジネス価値を最大化するための戦略です。 本記事を通じて、Azure を最大限に活用しながら、効果的にコストを管理する方法を学び、クラウド活用から最大の成果を得るための知識を身につけましょう。


Azure 法人利用のサポート方法である CSP については、こちらの資料をご覧ください。
Azure CSP と東京エレクトロンデバイスのサポートについて

Azure の料金体系

Microsoft Azure の料金体系は、クラウドコンピューティングの柔軟性と効率性を反映しています。

概要としては、以下の 2 点を押さえることが重要です。

  • 基本は「従量課金制」(Pay-As-You-Go、使った分だけ支払う料金体系)で、使用したリソースに対してのみ課金
  • プロジェクトの規模、性質、組織のニーズに合わせて最適なサービスプランを選択可能

このような料金体系により、ユーザーは必要な時に必要なだけリソースを利用し、コストを効率的に管理することができます。

Azure の料金体系は、小規模なプロジェクトから大規模な企業の利用まで、幅広いニーズに対応できる柔軟な設計となっています。


料金に影響を与える要因

Azure の料金は、様々な要因によって変動します。

大きくわけると、利用する地域を示すリージョン、サービスティア、割引プラン(予約インスタンス)などがあります。

サービスの選択や設定によってコストが大きく変わる可能性があるため、これらの要因を理解することが重要です。

要因

説明

リージョン (Azure データセンターの所在地)

リージョンによって料金が異なる。 一般的に、北米や西ヨーロッパなどの主要リージョンの方が、新興リージョンよりも安価な傾向がある。

サービスティア(Basic、Standard、Premium など)

高いティアほど多くの機能や性能が提供されるが、それに応じて料金も高くなる。 例: 仮想マシンのサイズ、データベースのパフォーマンスレベルなど

冗長性オプション (ローカル冗長ストレージ、ゾーン冗長ストレージなど)

より高度な冗長性を選択すると、データの耐久性と可用性が向上するが、コストも増加する。

選択するサービス

各 Azure サービス(仮想マシン、ストレージ、データベース、AI/ML サービスなど)には独自の料金体系がある。 選択するサービスの組み合わせによって総コストが大きく変わる。

予約インスタンス

1 年間または 3 年間の長期コミットメントで割引が適用される。 仮想マシンやデータベースなどのリソースに対して利用可能。

ライセンス

既存のライセンスを Azure に持ち込む(Bring Your Own License: BYOL)オプションがあり、コスト削減につながる場合がある。

割引とオファー

エンタープライズ契約、開発/テスト価格、スタートアップ向けオファーなど、様々な割引プログラムがある。


各販売プログラムの概要

Azure を利用する際には、組織の規模やニーズに応じて最適な購入方法(ライセンスプログラム)を選択することが重要です。

ここでは、Azure の主要な販売プログラムについて説明します。

比較項目

CSP (Cloud Solution Provider)

EA (Enterprise Agreement)

MOSP (Microsoft Online Subscription Program)

主な特徴

• 柔軟な課金モデル(後払い) • 代理店によるサポート

• 長期契約プラン • 大規模組織向け

• 個人も利用可能 • オンライン管理

対象顧客

中小〜大企業

大企業

個人〜中小企業

最小ユーザー数

1 ユーザー〜

500 ユーザー〜

制限なし

契約期間

随時解約可

3 年後解約可

随時解約可

支払い方法

月次請求

年間前払い

月次/クレジットカード

請求書

代理店発行

代理店発行

MS 直接発行

サポート提供元

代理店

Microsoft

Microsoft

ライセンス再販

再販可

再販不可

再販不可

特に、Cloud Solution Provider (CSP) プログラムは、多くの企業にとって柔軟で効果的な選択肢となります。

  1. 柔軟性: あらゆる規模の組織に対応し、1 ユーザーから契約可能です。
  2. 専門的サポート: パートナー企業による技術支援とビジネスコンサルティングが受けられます。
  3. コスト最適化: パートナーのノウハウを活用し、効率的な Azure 利用が可能です。
  4. 付加価値サービス: パートナー企業による独自のサービスや統合ソリューションを利用できます。


東京エレクトロンデバイスはマイクロソフト認定のクラウドディストリビューターとして認定されており、CSP プログラムを通じて、お客様のニーズに合わせた最適な Azure 活用方法と料金プランをご提案いたします。

CSP を始めとする各ライセンス形態の詳細、その違いについては、以下の記事をご覧ください。
Azure の 3 つのライセンス形態と料金 ~ Azure CSP を利用するメリット~


なお、Azure の提供内容は頻繁に更新されるため、最新の情報については常にMicrosoft の公式ドキュメントを参照することをお勧めします。


主要サービスごとの料金例

Azure の料金決定要素


Azure では、以下の画像に示すような多くのサービスが提供されています。

また、サービスごとに異なる料金構造を持っています。

Azure のサービス一覧 参考:Microsoft


ここでは、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキングの各カテゴリーにおける主要サービスの料金例をご紹介いたします。

カテゴリ

サービス

料金例

コンピューティング

仮想マシン (VM)

B2s インスタンス (2vCPU, 8GB RAM) Linux: $0.0416/時間 Windows: $0.0832/時間


App Service

Standard プラン: $70/月~


Azure Functions

100 万実行 + 400,000 GB-秒/月 無料 超過分: $0.20/100 万実行, $0.000016/100 万 GB-秒

ストレージ

Blob Storage

ホットアクセス層: $0.0184/GB/月~


File Storage

標準: $0.06/GB/月~


Disk Storage

標準 SSD (E10, 128GB): $9.47/月

データベース

Azure SQL Database

General Purpose (2vCore): $146/月~


Cosmos DB

100 RU/秒: $23.36/月


Azure Database for MySQL/PostgreSQL

Basic 層 (2vCore, 5GB): $49/月~

ネットワーキング

データ転送

最初の 5GB 無料、その後$0.087/GB


VPN Gateway

Basic SKU: $0.04/時間


ExpressRoute

50Mbps 帯域幅: $280/月~

※価格は変動する可能性があります。最新の正確な価格については、Azure 公式ウェブサイトをご確認ください。


Azure の料金には様々な選択肢が用意されていますが、CSP プログラムを通じて Azure を利用することで、導入から運用、トラブルシューティングまで包括的なサポートを受けられ、企業は専門知識がなくても安心して Azure を活用できます。

さらに、パートナー企業のノウハウを活かして、最適なリソース構成を設計したり、使用量に応じた柔軟な課金体系を設定したりすることも可能です。


Azure の法人利用についてお考えのご担当者様は東京エレクトロンデバイスにお気軽にお問い合わせください。


Azure の主要な割引プラン

Azure では、長期利用や既存のライセンス活用によるコスト削減を可能にする、いくつかの割引プランが用意されています。

Azure 予約

Azure 予約は、1 年または 3 年の長期コミットメントによって大幅な割引を受けられるオプションです。仮想マシン、ストレージ、データベースなどの予約が可能で、最大 72%の割引を受けることができます。


Azure 予約の主な特徴は、柔軟性、範囲の選択、自動更新オプションです。予約はいつでも交換または返金が可能であり、単一のサブスクリプションまたは複数のサブスクリプションに適用できます。また、予約期間終了時に自動的に更新するよう設定することもできます。


【関連記事】

Azure の予約とは?その仕組みとメリット、利用時の注意点を解説


Azure ハイブリッド特典

Azure ハイブリッド特典は、既存のオンプレミスライセンスをクラウドで活用できる特典です。Windows Server、SQL Server、Red Hat Enterprise Linux などが対象となり、仮想マシンのコストを最大 85%削減することが可能です。

この特典を利用するには、有効なソフトウェアアシュアランス(SA)または同等のサブスクリプションライセンスが必要です。


ハイブリッド特典を活用することで、既存の投資を無駄にすることなく、クラウド移行のコストを大幅に削減できます。

Azure のコスト最適化ツール

Azure は、ユーザーがクラウド利用コストを効果的に管理・最適化できるよう、様々なツールを提供しています。

これらのツールを活用することで、予算計画の立案、コストの可視化、最適化の機会の特定が可能となり、効率的なクラウド運用を実現できます。


ここでは、主要なコスト最適化ツールとその特徴、使用方法について詳しく解説します。

Azure 料金計算ツール

Azure 料金計算ツール


Azure 料金計算ツールは、Azure サービスの利用コストを見積もるためのウェブベースのツールです。

このツールを使用することで、サービスごとの詳細な料金設定が可能となり、新規プロジェクトの予算策定や既存環境のコスト最適化検討に役立ちます。


使用方法は比較的簡単で、必要なサービスと仕様を選択し、見積もりを作成します。

例えば、仮想マシンの場合、インスタンスタイプ、オペレーティングシステム、利用時間などを指定することで、月間または年間の予想コストを算出できます。

シナリオベースの見積もり作成も可能で、複数のサービスを組み合わせた環境のコストを一度に見積もることができます。

【関連記事】

Azure 料金計算ツールの使い方・見積もり作成のコツをわかりやすく解説


Azure TCO(総保有コスト)計算ツール

Azure TCO 計算ツール


Azure TCO 計算ツールは、オンプレミス環境と Azure 環境のコストを比較するためのツールです。

このツールの特徴は、ハードウェア、ソフトウェア、電力、冷却などの隠れたコストも考慮に入れて計算を行うことです。


TCO 計算ツールの主な用途は、クラウド移行の経済的妥当性を評価することです。

オンプレミスのインフラストラクチャコスト、運用コスト、およびライセンスコストと、同等の Azure 環境のコストを比較することで、長期的な観点からの費用対効果を判断できます。


Azure Cost Management

Azure Cost Management の利用画面 参考:Microsoft Learn


このツールを使用することで、リアルタイムでコストを監視すること、予算を管理し、コスト最適化の機会を特定することができます。

主な機能

・コスト分析:リソース、サービス、場所ごとのコスト内訳を表示し、トレンドを分析できます。

・予算設定:コスト閾値を設定し、超過時にアラートを発行することができます。

・予測:将来のコストを予測し、潜在的な問題を早期に特定できます。

・レポート作成:カスタマイズ可能なレポートを作成し、関係者と共有することができます。


AzureAdvisor

Azure Advisor

Azure Advisor は、Azure リソースのベストプラクティスを提案するサービスです。

コスト最適化だけでなく、セキュリティ、パフォーマンス、可用性、運用上の優秀性など、多角的な観点から推奨事項を提供します。


Azure Advisor による提案例

  • 未使用リソースの特定:長期間使用されていない VM や、使用率の低いディスクなどを特定し、削除や縮小を提案。
  • リザーブドインスタンスの推奨:使用パターンを分析し、リザーブドインスタンスの購入が有利な場合に提案。
  • VM のサイズ最適化:過剰にプロビジョニングされた VM を特定し、適切なサイズへの変更を提案。

Azure Advisor の推奨事項を実装することで、大幅なコスト削減が可能になることがあります。

ただし、推奨事項を適用するにあたってはパフォーマンスや可用性などの影響を慎重に評価することが重要です。


コスト最適化のチェックリスト

Azure のコスト最適化は、効率的なクラウド利用の鍵となります。

適切なリソース管理、スケーリング戦略、環境設定により、コストを削減しつつ、パフォーマンスと可用性を維持することが可能です。

以下に、主要な最適化ができているかどうか確認するためのチェックリストベをご紹介します。


リソースの必要/不必要が管理されているか

効果的なリソースのライフサイクル管理は、不要なコストを削減し、リソースの効率的な利用を促進します。

すべてのリソースに適切なタグを付与し、定期的に使用されていないリソースを特定して削除または最適化することが重要です。

Azure Automation を活用してリソースの作成、更新、削除を自動化し、Azure Policy を使用してリソース作成時のタグ付けを強制することで、一貫した管理が可能になります。

また、定期的な監査を実施し、不要になったリソースを迅速に特定し、削除することでコストを抑制できます。


自動スケーリングの効果的な利用をしているか

自動スケーリングを適切に設定することで、需要に応じてリソースを動的に調整し、コストを最適化できます。

Azure Virtual Machine Scale Sets やオートスケール機能を持つ Azure App Service を活用し、トラフィックの増減に応じてインスタンス数を自動的に調整しましょう。

これにより、ピーク時の性能を確保しつつ、低負荷時のコストを削減できます。

適切なメトリクスとしきい値を設定し、スケールアウト/インのルールを慎重に定義することで、パフォーマンスとコストのバランスを取ることができます。


開発/テスト環境のコスト管理が行われているか

開発/テスト環境は、本番環境と同じ性能や可用性が不要なケースが多いため、コスト最適化の余地が大きい領域です。

Azure DevTestLabs を活用して、開発者に自己管理型の環境を提供しつつ、コストを制御します。使用時間の制限や自動シャットダウンを設定し、不要な時間帯のコストを削減します。

また、低コストの VM サイズを選択し、必要最小限のリソースで環境を構築します。

Azure の開発/テスト特典を活用し、MSDN サブスクリプションで提供される特別レートを利用することで、さらなるコスト削減が可能です。


予期せぬ高額請求の防止アラートを設定しているか

予期せぬ高額請求を防ぐためには、Azure Cost Management を活用して予算とアラートを設定することが効果的です。

また、Azure Policy を使用して高コストのリソース作成を制限し、開発/テスト環境では使用していない時間帯に自動シャットダウンを設定することも有効です。

定期的に Azure Cost Management でコストを確認し、異常を早期に発見することも重要です。


予約インスタンスと従量課金の使い分けができているか

リザーブドインスタンスは安定した、予測可能な使用パターンを持つワークロードに適しています。長期コミットメントにより大幅な割引を受けられますが、柔軟性は低くなります。

一方、従量課金は変動の大きいワークロードや短期プロジェクトに適しています。


多くの組織では、基本的な負荷にリザーブドインスタンスを使用し、負荷の変動分は従量課金で対応するなど、両者を組み合わせて使用することが一般的です。


マルチクラウド環境の場合は、全体的なコスト管理ができているか

マルチクラウド環境での Azure コスト管理には、クラウド管理プラットフォーム(CMP)を使用して複数のクラウドを一元的に管理することが有効です。

また、クラウド間で一貫したタグ付け戦略を採用し、コスト比較を容易にすることも重要です。

各クラウドの強みを活かした配置を検討し、定期的に各クラウドの利用状況と費用対効果を評価することで、全体的なコスト最適化を図ることができます。


これらのチェック項目を組み合わせて実施することで、Azure の利用コストを大幅に削減しつつ、必要なパフォーマンスと可用性を確保することができます。


ただし、コスト最適化は継続的なプロセスであり、定期的な見直しと調整が必要です。Azure Advisor の推奨事項は、定期的に確認し、新しい最適化の機会を常に探っていきましょう。


まとめ

本記事では、Azure の料金体系について包括的に解説しました。従量課金制を基本とする Azure の料金体系、 CSP や MOSP といった各種サブスクリプションタイプ、主要サービスの料金例、そして Azure 予約やハイブリッド特典といったコスト最適化のための割引プランについて詳しく説明しました。

読者の皆様が Azure の柔軟な料金体系を理解し、適切なサブスクリプションタイプの選択、サービスの料金構造の把握、そしてコスト最適化戦略の実施に役立てていただければ幸いです。

クラウド技術は常に進化しており、それに伴い Azure の料金体系も変化していくでしょう。継続的な情報収集と実践を通じて、Azure を最大限に活用していきましょう。

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