東京エレクトロンデバイス株式会社

Microsoft Azureコラム

2026/06/01

Writer: 手戸 蒼唯(てど あおい)

Azure AI モデルカタログとは?最適なAIモデルを見つけるための完全ガイド

多くのAIモデルが登場する中、「最適なモデルをどう選ぶか」はAI活用の重要な課題です。性能・コスト・ライセンス等を迅速に比較・評価し導入する必要があります。 この課題に応えるのが、Azure AI モデルカタログです。多様なAIモデルを一覧・検索し、性能比較からチューニング・デプロイまでを一貫して行うことができます。

Microsoft Build 2025では、Azure AI Foundryを通じて利用可能なモデルが1,900種類以上に大幅拡充され、xAIのGrokやOpenAIのSoraといった最新モデルも追加されるなど、その選択肢はますます広がっています。


本記事では、このモデルカタログの主要な機能、具体的な利用手順、活用する上でのポイント、そして注意点(ライセンス、コスト管理、責任あるAI)まで網羅的に解説します。 AIモデル選定の複雑さを解消し、ビジネスニーズに合うモデルを効率的に見つけるための一助となれば幸いです。


東京エレクトロンデバイスは、Azure AIをはじめとするAzureソリューションの企業導入をサポートしています。無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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Azure AI モデルカタログとは?

Azure AI モデルカタログは、急増し多様化する生成AIモデルの中から、Azure AI Foundryを介して自社のニーズに最適なものを見つけ出し、一覧・検索・評価・チューニング・デプロイまでを一貫して行えるハブ機能です。 Microsoft、OpenAI、Meta(Llama)、Mistral、DeepSeek、xAI(Grok)、Hugging Faceなどの主要プロバイダー/コミュニティの提供モデルを、Azure上の統合GUI からワンクリックで呼び出し・使用できる点が最大の特徴です。


このモデルカタログは、AI導入の初期段階で多くの企業が直面する「どのモデルを使えば良いのか?」という複雑な課題を解決し、GUIを通じて直感的にモデルを試しながら、目的に合ったモデルを選定してアプリケーション開発を加速させることを目的としています。

モデルカタログ


Azure AI Foundryとは

Azure AI Foundryとは、Microsoftが提供するAI開発のライフサイクル全体(データの準備、モデルの実験・評価、ファインチューニング、デプロイ、モニタリング、ガバナンスなど)を支援する統合プラットフォームです。 最近では、AIエージェント開発を加速する「エージェントファクトリ」としての機能も強化されています。


特に注目すべきポイントは以下の3つです。

  • 多様なAIモデルへのアクセスと継続的な拡充: 企業やオープンソースコミュニティから提供される様々なAIモデルにアクセスでき、常に最新・最良の選択肢を検討できます。 Azure AI Foundryを通じて利用可能なモデルは1,900種類以上に達し、Hugging Faceからは10,000を超えるオープンソースモデルも利用可能になるなど、そのエコシステムは飛躍的に拡大しました。
  • 使いやすい統合開発環境とエコシステム連携: コーディング知識がなくても操作できるGUI環境に加え、Visual Studio Code、GitHub、Microsft Copilot Studioといった開発者が使い慣れたツールや、Azure Machine Learningの強力な機能ともシームレスに連携します。
  • Azure上でのスムーズかつセキュアな運用: セキュリティ、スケーラビリティ、信頼性に優れたAzureのクラウド環境で、AIモデルのプロトタイピングから本番運用まで安心して行えます。


このように、Azure AI Foundryは、AI導入の初期検討から、開発、そして本番運用に至るまで、あらゆるフェーズを強力にサポートするサービスです。


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Azure AI モデルカタログの主な機能

モデルカタログは単なるモデル一覧ではなく、モデルの選定からカスタマイズ・運用までを幅広く支援する多彩な機能を備えています。 以下に各機能を整理します。

モデルの検索・フィルタリング

目的のAIモデルを効率的に探し出すために、多様な検索およびフィルタリングオプションが提供されています。 以下のような項目で絞り込みが可能です。

  • コレクション: 特定のテーマや特性でまとめられたモデル群、またはモデルを提供しているプロバイダー(例: Azure OpenAI・Microsoft・Meta・xAIなど)。
  • 業界: 特定の業界に特化したモデル(例: 製造・金融サービス)。
  • 機能: エージェント対応の有無。
  • デプロイ オプション: 利用可能なデプロイ形式(例: マネージドコンピューティング・サーバーレスAPI)。
  • 推論タスク: モデルが実行できる主な推論タスクの種類(例: 音声認識・テキストの分類・トークンの分類など)。
  • タスクの微調整: ファインチューニングが可能なタスクの種類(例: トランスレーター)。
  • ライセンス: モデルのライセンス条件(例: Apache 2.0、MIT など)。


モデルの詳細情報

各モデルの詳細情報ページでは、そのモデルの概要・用途・バージョン情報・入力データ形式などの情報がまとめられています。

ライセンス情報も確認可能で、モデル利用時の制約事項(商用利用可否やクレジット表記の必要性など)を事前に知ることができます。

モデル情報の確認


モデルの比較・ベンチマーク評価

複数のモデルを並べて、品質指数、コスト、レイテンシ(応答速度)、スループット(処理能力)といった性能指標やベンチマーク結果を比較できます。

「モデルリーダーボード」では様々な指標に基づいたモデルのランキングを確認でき、客観的なデータに基づいたモデル選定が可能になります。リーダーボードは継続的に更新されており、最新のモデルトレンドも把握できます。


さらに、特定のプロンプトやタスクに対して最適なAIモデルを自動的に選択し、品質向上とコスト削減を支援する新機能「Model Router (プレビュー)」も導入されました。これにより、モデル選定の効率がさらに向上します。

モデルの比較・ベンチマーク評価


デプロイオプション

選定したモデルは、そのままAzureクラウドにデプロイ可能です。用途や要件に応じて最適なデプロイ方式を選択できます。

デプロイ形式

特徴

主なユースケース

サーバーレスAPI (MaaS)

  • インフラ管理不要
  • トークンごとの従量課金制
  • 迅速なセットアップが可能

プロトタイピング、小~中規模アプリケーション、検証

マネージドコンピューティング

  • 自社サブスクリプション内に専用リソースを確保
  • 高いカスタマイズ性とパフォーマンス制御
  • GPUサーバーの稼働時間等に応じた課金

大規模トラフィック処理、低レイテンシ要件、本番運用

ローカル/オンデバイス実行

  • Foundry LocalやWindows AI Foundryを通じてローカルPCで実行
  • オフラインでの利用やエッジコンピューティングに対応
  • 特定のハードウェアに最適化されたモデル (例: Phi-4-Mini on Edge)

データプライバシー重視、低レイテンシ、オフライン利用、AI PCでの特定タスク実行


モデルカタログの使い方

モデルカタログを利用することで、以下のような手順でAIモデルを比較・デプロイできます。順を追って確認してみましょう。


  1. モデルを検索する

まずは、目的に合ったモデルを、キーワード検索やフィルターで絞り込みます。

たとえば、「Microsoft」提供、「チャットの完了」タスクで絞り込むと、以下のようにモデルがヒットします。

モデルの絞り込み

  1. 詳細情報を確認する

候補となるモデルが見つかったら、モデルを選択し、詳細情報ページに目を通します。モデルの説明・仕様・ライセンス条件などを確認しましょう。比較機能で他モデルとの違いも把握できます。

モデルの詳細情報ページ

  1. モデルをデプロイする

モデルの詳細情報ページから「デプロイ」を実行し、エンドポイントを構築します。デプロイ後はAPIキーが発行され、アプリケーションからモデルにアクセスできるようになります。 デプロイオプションには、従来のクラウドベースのものに加え、Foundry Localなどを利用したローカル実行の選択もできます。

モデルのデプロイ

  1. モデルのファインチューニング(必要な場合)

選んだモデルを、独自データにフィットさせたい場合、準備した独自のトレーニングデータセットをアップロードし、ファインチューニングの目的(例: チャット完了、テキスト生成)やパラメーターを指定してトレーニングジョブを実行すると、Azure上で学習が行なわれ、完了後に新しい調整済みモデルが生成されます。


ファインチューニングのための新しい開発者ティア(Developer Tier)も提供されており、コストを抑えながらカスタムモデルを作成しやすくなっています。


モデルのファインチューニング


このようにはじめてのAIモデルでも、モデルを比較・調整し、スムーズに導入することが可能です。


Azure AI モデルカタログを利用する上でのポイント

モデルカタログを最大限に活用するためには、以下のポイントを押さえておくことが効果的です。


目的に応じたモデル選定

まずは自社のビジネス課題やAI導入の狙いを明確にし、それを最も効率的に解決できるモデルを選びましょう。 最新や大規模という理由だけでなく、タスクの種類、必要な精度と応答速度、コスト、ライセンス条件などを総合的に比較し、最適な一台を見極めることが重要です。

「Model Router」のような特定のプロンプトやタスクに対して最適なAIモデルを自動的に選択できる機能を活用することも、効率的なモデル選定に繋がります。


ベンチマーク機能の活用

複数の候補がある場合は、カタログの比較機能を使って品質指標やコスト、レイテンシ、スループットといった客観的データをチェックしましょう。

モデルリーダーボードも参考にして、最新のトレンドや上位モデルの実績を把握することができます。


プレイグラウンドでのテスト

本番デプロイや微調整を始める前に、プレイグラウンド機能で応答や挙動を十分に確認してください。

さまざまなプロンプトを実行し、生成結果の一貫性やハルシネーションの傾向などを事前に把握することで、運用リスクを低減できます。


継続的な評価とモデルバージョンの意識

AIモデルは進化が速いため、一度デプロイした後も定期的に性能やコストを見直し、モデルカタログで新バージョンや改良モデルの登場をチェックしましょう。Microsoft Build 2025で多数の新しいモデルや機能が発表されたように、カタログは常に進化しています。

新世代モデルは従来より高速・高精度かつ低コストのケースがあるため、四半期ごとなどのサイクルでアップデートを検討し、テスト環境で影響を確認した上で本番に反映すると、常に最適な状態を維持できます。


モデルカタログ利用時の注意点

便利なモデルカタログですが、利用にあたっていくつか注意すべきポイントもあります。最後に、主な注意事項を整理しておきます。


ライセンスの確認

モデルごとに MIT、Apache、GPL など異なるライセンスが設定されており、商用利用の可否や再配布、クレジット表記の要件が異なります。 利用前に必ずモデル詳細ページの「ライセンス」タブを確認し、規約を遵守してください。


コスト管理

モデルカタログの閲覧や検索そのものは無料ですが、モデルのデプロイ、ファインチューニング、API 呼び出しには料金が発生します。 各モデルの価格情報はモデル詳細ページの「価格」タブで確認できるため、事前にコストを把握し、予算に応じたプランニングを行いましょう。

モデルの価格確認


責任あるAI利用

大規模言語モデルは誤情報(ハルシネーション)や意図しないバイアスを含む可能性があります。Azure AI Content Safety などのフィルタリング機能を組み合わせつつも、最終的な品質保証とリスク管理はユーザー側で実施してください。

AIの出力結果は必ず人間がレビューし、必要に応じて修正を行う運用体制が不可欠です。


データプライバシー

機密情報や個人データを扱う際は、社内のセキュリティガイドラインやプライバシーポリシーに従い、クラウド上へ送信してよいデータ範囲を厳密に定義してください。

Azure AI Foundry では入力データや生成結果が学習に再利用されることはありませんが、社外秘情報などはより厳しい取り扱いが必要です。


まとめ

本記事では、Azure AI モデルカタログについて、その概要、主な機能、利用手順、活用のコツ、そして注意点までを包括的に解説しました。

モデルカタログは、AI開発を民主化し、イノベーションを加速するための強力なツールです。多様な最新AIモデルへの容易なアクセス、そしてモデルの選定から評価、カスタマイズ、デプロイまでを一気通貫で支援することで、開発サイクルの高速化と市場投入までの時間短縮に貢献します。


「どのモデルを使えば良いのかわからない」というAI導入初期の障壁を取り除き、企業や開発者がAIの真の可能性を引き出すことを可能にします。モデルカタログを戦略的に活用し、ビジネスやプロジェクトの成功、そして新たな価値創造へと繋げてください。Azure AI Foundryとモデルカタログは、今後もさらなる進化が期待されるプラットフォームです。


東京エレクトロンデバイスは、Azure AI をはじめとするAzureの企業導入をサポートしています。 無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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