Azure OpenAI Service とは
Azure OpenAI Service は、Microsoft が提供する革新的なクラウドベースの AI サービスです。このサービスは、OpenAI の高度な自然言語処理技術を Azure の強固なインフラストラクチャと組み合わせ、企業向けに最適化されています。
OpenAI が展開している GPT シリーズや DALL-E などの最先端 AI モデルを、セキュアかつスケーラブルな環境で利用できます。
Azure OpenAI Service
Azure OpenAI Service の特徴
Azure OpenAI Service は、ビジネス利用に特化して設計されており、セキュリティやスケーラビリティ、カスタマイズ機能が充実しています。
特に大企業向けのセキュリティ機能や、独自データを活用した AI モデルのパーソナライズ機能が強化されています。
エンタープライズ向けのセキュリティと信頼性
Azure OpenAI Service は、Microsoft のクラウド基盤を活かし、企業に必要な高度なセキュリティと信頼性を提供します。
データの暗号化やアクセス制御、多層的な保護メカニズムが実装されており、セキュリティ面でも高い評価を得ています。
- 多層的なセキュリティ機能: データ暗号化、アクセス制御、ネットワークセキュリティなど、複数の保護メカニズムが実装されています。
- Microsoft Entra ID との統合: シングルサインオンや多要素認証など、高度な認証機能が利用できます。
- 高可用性インフラストラクチャ: Azure の高可用性インフラを活用し、サービスの安定性が確保されています。
カスタマイズ性と他サービスとの統合
Azure OpenAI Service は、Azure のクラウド基盤を活用することで、企業のニーズに合わせて柔軟にリソースを拡張・縮小できます。
さらに、企業が独自に AI をカスタマイズするための機能も充実しており、Azure エコシステムとの統合がスムーズに行えます。
特に注目すべき機能として、企業固有のデータを活用できる「On Your Data」機能と、高度な検索・分析を可能にする「Azure AI Search」との連携があります。
On Your Data 機能
Azure OpenAI Service で利用可能なOn Your Data 機能は、企業固有のデータを活用して AI モデルをカスタマイズする革新的な機能です。
この機能により、より精度の高い、業界特化型の AI ソリューションを構築することができます。
【主な特徴】
- 組織固有のデータを AI モデルに統合
- Azure Blob Storage、SharePoint Online など、Azure や Microsoft365 のクラウドサービスとシームレスに連携
- カスタムデータを用いた AI モデルのパーソナライズ
- RAG モデルアプローチによる高精度な情報検索と回答生成
Azure AI Search との連携
Azure AI Search (旧:Azure Cognitive Search)は、大規模なデータセットに対して高度な検索・分析機能を提供する Azure のサービスです。
Azure OpenAI Service との連携により、AI モデルはこの強力な検索機能を活用し、より精度の高い情報抽出と分析が可能になります。
【主な特徴】
- インフラ管理を必要としないフルマネージドの検索サービス。
- 全文検索、ベクトル検索、ハイブリッド検索など多様な検索ニーズに対応。必要に応じて、ベクトルインデックスを使用することで、大規模データセットに対しても効率的に類似度検索を実行。
- 多様なデータソース、Azure サービスとの柔軟な統合。
Azure AI サービス
コンプライアンスとデータプライバシー
Azure OpenAI Service は、多くの国際的なコンプライアンス基準に対応しており、GDPR や HIPAA などの規制要件の一部を満たすためのセキュリティ対策やデータ管理機能、設計上のガイドラインを提供しています。
コンプライアンス対応
GDPR、HIPAA、SOC 2 などの規制に関連する多くの要件に対応するよう設計されています。これには、データの暗号化、アクセス制御、データレジデンシー管理、コンテンツフィルタリング、使用状況の監視などの機能が含まれます。
ただし、完全な遵守は利用者の責任で確保する必要があります。
データ管理
特定の地域内でデータを保持する機能や、データの保持期間の設定など、データの所在地と管理に関する法的要件への対応を支援するよう設計されています。
透明性の高いデータ使用ポリシー
Microsoft は、データの取り扱いやセキュリティ対策に関する詳細な情報を提供しています。ただし、具体的なデータ保護の実装は利用者側で行う必要があります。
Azure OpenAI Service で利用可能なモデル
Azure OpenAI Service は OpenAI API と同様のサービスを提供しており、テキスト生成、画像生成、埋め込み、音声変換など、企業の多様なニーズに応じた AI ソリューションの構築を可能にします。
さらに、OpenAI の最新モデルにも迅速に対応しており、常に最先端の技術を活用できる環境が整っています。
以下は、2025年8月時点で利用可能な主なモデルの一覧です。(一部抜粋)
【モデルの一覧と説明】 (2025年8 月時点)
モデル | 説明 |
|---|---|
o4-mini | o3-miniの後継。高速・低コスト推論でマルチモーダル対応。 |
o3-pro | oシリーズの最上位モデル。高度な推論と幅広いタスクに対応。 |
o3 | o3-miniの上位モデル。精度と効率のバランスを強化。 |
o3-mini | o1 シリーズに続く、新世代の高速・低コスト推論モデル。 |
o1 | 推論能力が強化されたモデル。テキスト・画像対応。 |
o1-mini | o1-mini に続く、新世代の高速・低コスト推論モデル。 |
GPT-5 | 最新世代の高性能モデル。マルチモーダル対応。 |
GPT-5 mini / nano | GPT-5 を軽量化した派生モデル。コスト効率と応答速度を重視。 |
GPT-4o | GPT-4 の改良版。非英語タスクや視覚タスクで優れた性能。高速・低コスト化。 |
GPT-4o mini | GPT-4o の軽量版。コストを大幅に削減。 |
その他 | |
埋め込み(Embeddings) | テキストを数値ベクトル形式に変換。セマンティック検索や推薦システムに適している。 |
DALL-E | 自然言語の説明から、それに対応するオリジナルの画像を生成できる AI モデル。 |
gpt-image-1 (preview) | テキストから静止画を生成できるモデル。プレビュー提供中 |
Sora (preview) | テキストから動画を生成できるモデル。現在プレビュー提供。 |
テキスト読み上げ (preview) | テキストを自然な音声に変換する AI モデル。多言語・多様な声色に対応。 |
Whisper | 音声認識モデル。文字起こしや翻訳に対応。 |
※2025年8月時点の代表的なモデルを掲載しています。特定のユースケースやコスト要件によっては、他のモデルが適している場合があります。
他のモデル情報や最新モデルの情報はMicrosoft の公式ドキュメントをご確認ください。
Azure OpenAI Service の料金体系
Azure OpenAI Service は、利用状況や要件に応じて選択できる、「従量課金制(Standard)」とプロビジョニング済みスループットユニット(PTU)」 という 2 つの価格モデルがあります。
1. 従量課金制 (Standard)
- 処理されたトークン数に基づき料金が発生します。トークンの数は、入力と出力のテキストの長さに基づいてカウントされます。
- 柔軟性があり、変動するワークロードに最適です。
2. プロビジョニング済みスループットユニット (PTU)
- 一定の処理容量を予約し、その使用に対して予測可能な料金を支払うモデルです。
- 毎日同じような使用パターンがある場合、コストを安定化させるのに最適です。
2024 年 8 月の PTU に関するアップデート
2024 年 8 月のアップデートにより、PTU の利用がさらに柔軟になりました。
以下が主な変更点です。
- 時間単位での利用: 必要な時間だけ PTU を使用できるようになり、従来のコミットメント形式に比べてコスト効率が向上しました。
- モデル間での PTU 共有: 異なるモデル間で PTU の共有が可能になり、リソースの最適な活用が可能です。
- リージョン拡大: 以前よりも多くのリージョンで PTU が利用できるようになり、柔軟なデプロイメントが可能です。
- セルフサービス導入: セルフサービスのクォータ要求フォームが利用可能になり、 Azure AI Foundry の直接管理も可能になりました。
この更新により、Azure OpenAI Service の PTU 利用は、パフォーマンスとコスト効率の両方で優れた選択肢となっています。
※PTU モデルは高い処理能力を提供しますが、利用方法によっては予想外の高額な料金が発生する可能性があります。
これは、PTU が時間単位で課金される仕組みであり、使用しない時間も含めて料金が発生するためです。
Azure OpenAI PTU のご利用に関する注意事項については、こちらからご確認ください。
また、詳細な料金体系および PTU のアップデート内容、利用料金の計算方法については、こちらの記事をご覧ください。
Azure OpenAI Service の料金体系・コスト最適化のポイントを解説
Azure の料金や PTU についてご不明な点がございましたら、お気軽に東京エレクトロンデバイスまでお問い合わせください。弊社は、CSP プログラムによりクラウドディストリビューターとして、Azure の契約や導入をサポートしております。お客様は、弊社を通じて Azure の最適なプランをご契約いただけるだけでなく、料金や導入に関する詳細なサポートもご利用いただけます。ぜひご相談ください。
Azure OpenAI Service と ChatGPT(OpenAI API)の違い
Azure OpenAI Service と ChatGPT (OpenAI API)は、どちらも OpenAI の技術をベースにしていますが、企業利用の観点から重要な違いがあります。
以下は、両サービスの主要な特徴を比較した表です。

Azure OpenAI Service と ChatGPT(OpenAI API)の違い
※ SLA: サービスレベルアグリーメントは、サービスの提供者と利用者の間で、サービスの品質や可用性について取り決めた契約。
選択のポイント
サービスの選択に際しては、プロジェクトの規模、セキュリティ要件、予算、長期的な成長計画、既存のインフラストラクチャとの統合性、そして SLA(サービスレベルアグリーメント)、を総合的に考慮することが重要です。
以下に、各サービスが適しているケースを示します。
【Azure OpenAI Service が適しているケース】
- 大規模な企業や組織でセキュリティとコンプライアンスが重要な場合
- Microsoft Azure のエコシステムとの連携が必要な場合
- スケーラビリティやリソース管理が求められるプロジェクト
- エンタープライズ向けのサポート体制が必要な場合
- サービスの安定稼働が重要で、高可用性を保証する SLA が必要な場合
例えば、企業が顧客データを用いた AI ベースのシステムを構築する場合、Azure OpenAI Service のセキュリティ機能とコンプライアンス準拠が重要になります。
【OpenAI API が適しているケース】
- 小規模なプロジェクトや個人開発
- シンプルで低コストな利用を希望する場合
- スケーラビリティや高度なセキュリティ、厳格な SLA がそれほど重要でない場合
小規模な実験や個人プロジェクトでは OpenAI API の方が適している場合もありますが、Azure OpenAI Service は Azure のセキュリティや他サービスとの連携、Microsoft 社のサポートも利用できるため、企業の本格的な AI 導入に適しています。
Azure OpenAI Service の利用方法
ここでは、Azure OpenAI Service を使用するための具体的な手順を詳しく説明します。
サービスを利用開始するまでの流れは以下の通りです。
- Azure アカウントの作成またはログイン
- 事前申請の提出
- Azure OpenAI Service のリソースを作成
- API キーの取得
- Azure OpenAI Foundry の活用
Azure アカウントの作成またはログイン
Azure ポータルにアクセスし、Azure アカウントを作成します。
既にアカウントを持っている場合は、サインインします。

Azure ポータル画面
事前申請の提出
Azure OpenAI Service を利用するには、サブスクリプション毎に事前申請を行う必要があります。
申請は英語のフォームから行い、申請者とその組織、使用するサブスクリプション、OpenAI サービスの用途など、約 30 項目の情報を入力します。
※申請から利用開始までは一概にはいえませんが数日-10 営業日程度かかります。
Azure OpenAI Service のリソースを作成
事前申請が承認されたら、Azure OpenAI Service のリソースを作成できます。
Azure ポータルでリソースを作成し、API の利用を開始します。
- Azure ポータルの左上の「リソースの作成」ボタンを押します。

リソースの作成ボタン
- 検索画面に、「Azure OpenAI」と入力し、選択したら「作成」をクリックします。
検索画面
- 「Azure OpenAI の作成」の基本画面が表示されるので、必要事項を入力し、[次へ] を選択します。

基本画面
- ネットワーク画面やタグ画面も入力し、[次へ]を押します。

ネットワーク画面等
- [レビューおよび送信]画面で内容を確認したら、[作成]を選択します。

作成ボタン
- 作成されたら、 [リソースに移動] を選択します。
リソースに移動ボタン
API キーの取得
- リソースの概要ページに移動したら、左側のメニューから「キーとエンドポイント」というセクションを選択します。
ここに、API キーやエンドポイント URL が表示されます。
キーとエンドポイント画面
- 「キー 1 およびキー 2」という 2 つの API キーが表示されます。どちらのキーも API リクエストで使用可能です。
- 「エンドポイント」欄には、Azure OpenAI Service へのアクセス用 URL が表示されています。この URL を API リクエストのターゲットエンドポイントとして使用します。
ここで表示される API キーをコピーし、API リクエストを送る際にこのキーを使います。
Azure AI Foundry の活用
Azure AI Foundry は、Azure OpenAI Service をはじめとする Azure AI サービスを統合し、AI アプリケーションやエージェントの設計、開発、評価、デプロイ、管理を行うための包括的なプラットフォームです。
モデルのテストやデプロイ、ファインチューニングはもちろん、Azure AI Agent Service を利用したエージェント開発、多様なモデル(OpenAI、Meta、Mistral など)の利用、強化された評価ツール、SDK を通じた開発が可能です。
Azure AI Foundry SDK は、多様な AI モデルへのアクセス、モデルやデータ・AI サービスの組み合わせ、アプリケーションの品質や安全性の評価などを、開発者が使い慣れたコーディング環境から簡単に行えるように設計されています。
詳細は公式ドキュメントをご確認ください。
Azure AI Foundry へのアクセス
Azure AI Foundry へは、Azure ポータルからアクセスするか、AzureAI Foundry 専用の URLからサインインします。
サインイン後、リソース管理に利用する ハブやプロジェクトを目的に合わせて作成および選択します。
Azure AI Foundry ダッシュボードの画面
Azure AI Foundry の機能
Azure AI Foundry ダッシュボードの右上にある「プロジェクトの作成」からプロジェクトを作ると以下のプロジェクト画面に移行します。
ここからあらゆる Azure AI サービスを利用することができます。
プロジェクト画面
その多様な機能は、左サイドバーから選択することができます。各機能の概要は、以下にご説明します。
1. モデル カタログ
Azure OpenAI Service のモデルだけでなく、Meta (Llama)、Mistral、Microsoft (Phi) などの多様なモデルが掲載されたカタログです。
ここから直接モデルをデプロイすることが可能です。
モデルカタログの画面
2. プレイグラウンド
カタログ上のモデルや自身でデプロイしたモデルを、チャット形式や補完形式でインタラクティブに試せるテスト環境です。プロンプトの調整やパラメータ変更の効果をリアルタイムで確認できます。

プレイグラウンドの画面
3. AI サービス
Azure OpenAI Service、Azure AI Speech、Vision、Language などの Azure AI サービスへの接続や連携を管理する機能です。

Azure AI サービスの画面
4. ビルドとカスタマイズ
- エージェント (プレビュー): タスク自動化や目標達成のための自律的な AI エージェントを構築・テスト・デプロイする機能です。
- テンプレート (プレビュー): 特定のユースケースに対応したアプリケーションのテンプレートを利用して、開発を迅速に開始できる機能です。
- 微調整 (ファインチューニング): 特定のデータセットを用いてモデルを再トレーニングし、特定のタスクや知識に合わせてパフォーマンスを最適化します。
- プロンプト フロー: プロンプトエンジニアリング、ツール連携、Python コードなどを組み合わせた AI ワークフローを視覚的に設計、開発、テスト、評価、デプロイする機能です。
5. 評価
- トレース (プレビュー): プロンプトフローやエージェントの実行過程を詳細に追跡し、デバッグやパフォーマンス分析を支援する機能です。
- 評価: 開発した AI アプリケーションの品質(例: グラウンデッドネス、関連性)や安全性(例: 有害コンテンツリスク)を、組み込みメトリクスやカスタムメトリクスを用いて体系的に測定・評価します。
- 安全性とセキュリティ: コンテンツフィルターの設定や、責任ある AI の原則に基づいた開発を支援する機能を提供するものです。
6. マイアセット
- モデル + エンドポイント
デプロイしたモデルとその API エンドポイントを一覧表示し、管理(スケーリング、キー管理など)する機能です。
- データとインデックス
RAG(取得拡張生成)で利用する組織固有のデータのアップロードや、外部データソースへの接続、ベクトルインデックスの作成・管理などを行う機能です。
- Web Apps
デプロイしたモデルやプロンプトフローを基にした簡単な Web アプリケーションを迅速に作成し、デモンストレーションやテストに利用できる機能です。
これら多様な機能が Azure AI Foundry という一つのプラットフォームに統合されています。そのため、開発者はアイデアの着想からモデルの選択、アプリケーションやエージェントの開発、厳密な評価、そして本番環境へのデプロイと運用に至るまで、AI 開発のライフサイクル全体をシームレスかつ効率的に管理・実行することが可能となるのです。
まとめ
本記事では、Azure OpenAI Service の特徴、機能、利用方法、料金体系、そして具体的な活用事例を詳しく解説しました。このサービスは、OpenAI の強力な自然言語処理技術を Azure のセキュアな環境で利用できる、企業向けの革新的な AI ソリューションです。特に、独自データを活用できる「On Your Data」機能や、Azure AI Search との連携による高度な情報検索・分析能力は、ビジネスにおいて大きな可能性を秘めています。
Azure OpenAI Service を導入することで、企業は最先端の AI 技術を安全かつ効率的に活用し、新たな価値創造やビジネス革新を実現できるでしょう。本記事が、皆さまの AI 活用戦略を考える上での一助となれば幸いです。
東京エレクトロンデバイスでは、企業の AI 導入をサポートするサービス「Try it! Azure OpenAI Service EXPRESS」を提供しています。
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