東京エレクトロンデバイス株式会社

Microsoft Azureコラム

2026/06/15

Writer: 手戸 蒼唯(てど あおい)

Microsoft Build 2026発表まとめ|AIエージェント・Foundry・Windows AIの注目ポイント

Microsoft Buildは、Microsoftが開発者向けに開催する年次技術カンファレンスです。東京エレクトロンデバイスでは、Microsoft Build 2026の主要発表を全6回の特集として解説します。この記事では、Build 2026で発表された主要テーマを横断的に整理します。


Microsoft Build 2026特集(全6回)

  1. Microsoft Build 2026発表まとめ|AIエージェント・Foundry・Windows AIの注目ポイント(本記事)
  2. Build 2026から見るMicrosoft Fabricの最新動向|AI時代のデータ基盤はどう変わるか
  3. Microsoft IQで企業AIエージェントはどう変わる?Foundry IQ・Fabric IQ・Work IQの狙い
  4. Foundry Localはオンプレ/デバイスAIをどう変える?Build 2026から見るローカルAI実行基盤
  5. WindowsとNVIDIAで進むPhysical AI|RTX Spark・Azure Local・製造業エッジ活用の現在地
  6. GitHub CopilotはBuild 2026でどう進化した?Copilot appとエージェント型開発の最新動向


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Microsoft Build 2026が示した「エージェント時代の開発者プラットフォーム」

Build 2026 キービジュアル.png

Microsoft Build 2026 引用:Microsoft Build 2026

Microsoft Build 2026は、2026年6月2日から3日にかけて、米国サンフランシスコとオンラインで開催され、Opening KeynoteにはSatya Nadella、Mustafa Suleyman、Jensen Huang、Cristiano Amonが登壇し、エージェント基盤・自社AIモデル・Windows端末側の実行環境・データ基盤を横串で再定義する内容が中心となりました。


今回のキーメッセージは、「エージェントを作る・動かす・管理する・業務データにつなぐ」という4つのレイヤーが、Microsoft Foundry(作る)、MAIモデル群とWindows AI/Foundry Local(モデルと実行環境)、Microsoft IQとAgent 365(業務文脈と統制)、Microsoft Fabric(データ基盤)、GitHub Copilot(開発体験)でひととおり揃った点にあります。


なお、本記事の情報は2026年6月時点のものです。プレビュー機能や提供時期は今後変動する可能性がある点をご承知おきください。


Build 2026関連発表の全体像

Build 2026で発表された主な新機能・新製品を、エージェントの開発・実行・統制・業務活用という観点で整理すると、以下の表になります。


領域

主な発表

関連プロダクト

エージェントを作る

Microsoft Foundryの更新、Microsoft Agent Framework、Hosted agents、Routines、Frontier Tuning、Foundry Toolkit for VS Code GA、Toolboxes/Memory/Voice Live強化、Teams/Microsoft 365 Copilotへの公開予定

Microsoft Foundry、Foundry Agent Service

エージェントを動かす

Foundry Local強化、Windows AI APIs拡張、OpenClaw on Windows、Microsoft Execution Containers、Project Solara、Surface RTX Spark Dev Box、DGX Station for Windows

Foundry Local、Windows AI、Surface RTX Spark Dev Box

エージェントを管理する

Agent 365 GA、Agent 365 SDK、Windows 365 for Agents GA、MDASH、Purviewによるエージェント向けDLP、ASSERT、Agent Control Specification、Rubric evaluator

Microsoft Agent 365、Microsoft Foundry、Microsoft Purview

業務文脈・業務活用

Microsoft IQ(Foundry IQ・Fabric IQ・Work IQ・Web IQ)、Work IQ APIs、Microsoft Scout、Rayfin、Fabric Data WarehouseのGPU高速化(CoddSpeed)、Azure HorizonDB

Microsoft IQ、Microsoft 365、Microsoft Fabric、Microsoft Databases

モデル

MAIモデル群(7モデル)、Mayo Clinicとのヘルスケアモデル連携

Microsoft AI

開発体験

GitHub Copilot app、Agent Merge、Copilot SDK GA、MAI-Code-1-Flash、Agent Skills標準化、MCP対応拡大、Copilot CLI/code review強化

GitHub Copilot

Physical AI

Microsoft × NVIDIA連携三本柱、NVIDIA RTX Spark、NVIDIA OpenShell、DGX Station for Windows、Surface RTX Spark Dev Box、Foundry Local on Azure Local、Azure Local for Small Form Factor Devices、ロボティクスのエージェント化

Microsoft Foundry、Microsoft Fabric、Azure Local

その他のインフラ・基盤発表

Azure Cobalt 200 VMs、Azure Container Apps Sandboxes、Microsoft Discovery GA、Microsoft Discovery appプレビュー、Majorana 2

Azure、Microsoft Discovery、Microsoft Quantum


この表からわかるとおり、Build 2026の発表は単一の製品強化ではなく、エージェントを企業導入する際に必要となる作る・動かす・管理する・業務データにつなぐの各レイヤーで同時に動いている点が特徴です。次のセクション以降で、それぞれの領域での主な発表を順にご紹介します。


Agent 365とMicrosoft IQ:エージェントの統制と業務文脈

Build 2026では、AIエージェントを企業に導入する際に必要となる統制(コントロールプレーン)と業務文脈(コンテキストレイヤー)の両軸で、主要なアップデートがありました。具体的には、Microsoft Agent 365Microsoft IQ、Microsoft Scoutの3つが中心です。

Microsoft Agent 365:エージェント統制プレーンとしてのGA拡張

Agent 365 セキュリティ.jpg
Microsoft Build 2026におけるエージェントセキュリティ 引用:Microsoft Security Blog


Microsoft Agent 365は、AIエージェントの識別、観測性、評価、ガバナンスを横断的に提供するコントロールプレーンです。Agent 365自体は2026年5月に一般提供(GA)が開始されており、Build 2026のタイミングではさらに以下のアップデートが発表されました。

  • Agent 365 SDKのGA:開発者が観測性・アクセス制御・コンプライアンス機能を自分のエージェントに組み込めるSDKが提供されました。
  • Windows 365 for AgentsのGA:Agent 365の一部として、AIエージェントがアプリ操作やデータ処理を行うための管理対象Cloud PCを提供する仕組みが一般提供されました。ローカル端末ではなく、Intune管理下のCloud PC上でエージェントを分離実行できる点が特徴です。
  • Microsoft Execution Containers(MXC)統合:Windows端末上で動くローカルエージェントに対して、Microsoft Defender、Microsoft Entra、Microsoft Intune、Microsoft Purviewの保護を適用するための連携が発表されました。Build 2026時点では、早期プレビューや近日提供予定の機能として案内されています。
  • MDASH(Microsoft Defender Agentic Scanning Harness):100以上の特化エージェントによるアンサンブル方式の脆弱性検出システムです。CyberGymベンチマークで96.55%の検出精度が示されました。
  • Purviewによるエージェント向けDLP:Microsoft Foundry上で動くエージェントが扱うプロンプトに対して、機密データの検出・ブロック・監査を実行できる仕組みです。


これらの発表は、Build 2026のMicrosoft Security Blogで公開されています。AIエージェントを業務で動かすために必要な「誰が何をどこまで実行できるか」という制御レイヤーを、Microsoft既存のセキュリティスタックに統合できる構成になっています。


Microsoft IQ:エージェントへの業務文脈付与

Microsoft IQは、エージェントが必要とするコンテキスト管理をエージェント外部に切り出し、4つの専門領域に分けて扱う仕組みです。Build 2026では、これまでFoundry IQ・Fabric IQ・Work IQの3層で説明されていたMicrosoft IQに、外部Webからの文脈を扱うWeb IQが加わり、4本立て体制として位置づけられています。

Microsoft IQの4層構造(Foundry IQ・Fabric IQ・Work IQ・Web IQ).png
Microsoft IQの4層構造(Foundry IQ・Fabric IQ・Work IQ・Web IQ) 引用:Microsoft Build 2026 Opening Keynote


提供するコンテキスト

主な基盤

Foundry IQ

組織のポリシーや権威ある文書(エンタープライズナレッジ)

Microsoft Foundry、Azure AI Search

Fabric IQ

ビジネスエンティティとデータ(業務データの意味)

Microsoft Fabric、OneLake

Work IQ

従業員の働き方や業務文脈(メール・会議・チャット等)

Microsoft 365

Web IQ

外部Webからの文脈

Bingインデックスを基盤としたAIネイティブAPI

この表からわかるとおり、4つの層はそれぞれ「組織内ナレッジ」「業務データ」「人と業務の動き」「外部Web」という異なる種類のコンテキストを担っています。Build 2026では、Work IQ APIsの2026年6月16日GA予定と、Web IQ(Bingベースの新しい検索API群)が新たに発表されています。


Microsoft IQ各層の詳細、4 IQsの連携設計、Agent 365を組み合わせた権限境界の設計などは、本特集のMicrosoft IQ記事で扱っています。


Microsoft Scout:常時稼働するパーソナルエージェント

Microsoft Scout .png
Microsoft Scoutの発表 引用:Microsoft Build 2026 Opening Keynote


Build 2026のキーノートでは、Frontier顧客向けのパーソナルエージェントMicrosoft Scoutも発表されました。OpenClawとWork IQを基盤にして、ユーザーの働き方を学習し、Microsoft TeamsやOutlookといった既存ツール内で会議準備・スケジュール調整・定型タスクなどを能動的に処理する仕組みとして説明されています。


Microsoft ScoutはBuild 2026時点ではFrontier顧客向けの提供であり、利用条件はMicrosoft公式ブログで順次案内されています。新規導入を検討される場合は、Microsoft 365 Copilotの導入状況とAgent 365の運用設計と合わせて評価するとよいでしょう。


Microsoft Foundry:エージェント開発基盤の本番運用化

Microsoft Foundryは、エージェントを構築・運用するためのプラットフォームとして、Build 2026のタイミングで本番運用に耐えうる機能群が一段進みました。Build 2026での主な発表はWhat's new in Microsoft Foundry | Build 2026に整理されています。

Foundry本体の主な強化点

Build 2026で発表されたFoundry本体の更新を、開発・知識・モデル・統制の4軸で整理すると以下のようになります。

  • Microsoft Agent Frameworkの安定オーケストレーションビルディングブロック追加:エージェントの計画・実行・連携をオーケストレーションするための共通部品が提供されました。
  • Foundry Toolkit for VS CodeのGA:エージェント開発をVS Codeから一貫して扱える拡張機能が一般提供開始しました。
  • Hosted agentsの早期GA見込み:サンドボックスセッション・状態管理・ファイルシステムアクセス・フレームワーク選択肢を備えたホスト型エージェントが、2026年7月初旬にGAされる見込みです。
  • Toolboxes / Memory / Voice Liveの強化:MCPクライアントや外部ツール連携をまとめるToolboxes、手続き記憶・ユーザー記憶・セッション記憶を扱うMemory、リアルタイム音声エージェントを構築するVoice Liveが拡張されました。
  • Routinesのpublic preview:エージェントが定期実行や条件発火で動作する繰り返しワークフローを定義できる仕組みが、public previewとして公開されました。
  • Teams / Microsoft 365 Copilotへの公開予定:Foundryで構築したエージェントを、TeamsやMicrosoft 365 Copilot側に公開してエンドユーザーから利用できるようにする経路が示されました。
  • Foundry IQの拡張:サーバーレスRetrieval、新規ナレッジソース、Web IQ統合が追加され、カスタムRAGパイプラインを組まなくてもエンタープライズデータにアクセスできるようになりました。
  • MAIモデルの段階的な公開:Foundry Build Editionでは、MAI-Thinking-1、MAI-Image-2.5、MAI-Transcribe-2、MAI-Voice-2などのモデルがFoundry側でも扱われるようになっています。


このほか、評価・監視・最適化面ではGuided Guardrail Setup、Tracing、Agent Optimizer、Agent ROI、Managed Compute、Fireworks AI on Foundryなどの運用系アップデートもあわせて発表されています。


これらの発表は、Foundryを、モデル提供・開発支援に加えて、本番運用のエージェント評価・監視・最適化まで扱うプラットフォームとして強化する内容です。エージェント実装に必要な部品はMicrosoft Foundry側で一気通貫に揃いつつあり、構成や仕様はMicrosoft Foundry公式ドキュメントで確認できます。


Frontier Tuning:業務ドメイン最適化のファインチューニング

Frontier Tuningは、業務ドメインに特化したモデル最適化を低コストで実現するファインチューニング機能です。Microsoft Foundry Build Editionでは、技術ドキュメント領域においてGPT-5.5比で約10倍超のコスト効率を達成できると示されました。


社内ドキュメント・製品マニュアル・技術仕様書のような業務固有の語彙を多く含むデータを扱う場合、汎用モデルでは精度が出にくい用語の解釈精度を引き上げる用途で有効です。


ASSERT / Agent Control Specification:エージェントの評価と統制

Build 2026では、Foundry上で動くエージェントの評価・統制を進めるためのオープンソースツール群も発表されました。

  • ASSERT:書かれたポリシーを実行可能な評価に変換するツールです。仕様書や運用ルールをエージェントの自動評価に落とし込めるため、定性的なレビューを定量評価に変える経路が整います。
  • Agent Control Specification(ACS):ランタイム時の安全制御を、ポータブルなYAML仕様として扱えるオープン標準です。エージェントの実行制約をプラットフォーム間で持ち運べるようになります。
  • Rubric evaluator:エージェントごとの品質基準を、加重評価基準として自動生成するツールです。

これら3つは、Build 2026でMicrosoftが「エージェントを企業導入する際の評価・統制レイヤーをオープン標準で揃える」という方針を明確化した発表と言えます。Foundry Local・Frontier Tuningの詳細、Aion 1.0オンデバイスSLMなどの動向は、本特集のFoundry Local記事で扱っています。


Windows AI:エージェント実行基盤としてのWindows端末

Build 2026では、Windows端末とWindows 365のCloud PCを、エージェント実行基盤として位置づける発表が複数行われました。中核となるのは、Surface RTX Spark Dev Box、DGX Station for Windows、Project Solara、OpenClaw on Windows、Microsoft Execution Containers、Windows AI APIs拡張、Windows 365 for Agentsです。

Surface RTX Spark Dev Box:開発者向けの1ペタフロップ級デスクトップ

Surface RTX Spark Dev Box.jpg
Surface RTX Spark Dev Box 引用:Microsoft Devices Blog


Surface RTX Spark Dev Boxは、NVIDIA RTX Sparkスーパーチップを搭載したMicrosoft純正のWindowsミニPCで、最大1ペタフロップのAI演算性能を備えます。

120Bパラメータ超のLLMをローカルで実行できると示されており、Windows 11 Proを開発者向けにプリセットし、VS Code、GitHub Copilot、Git、Python、Node.js、WSL 2 + CUDAなどを備えた状態で、2026年内に米国Microsoft.com限定で提供開始予定です。


これまでクラウドDGX系のサーバーで扱われていた長時間のトレーニングジョブやエージェント型AIパイプラインを、デスク上の開発機で扱えるようになります。Microsoft Foundryをローカルからクラウドまで同じ実行モデルで扱えるため、ローカル試作からAzureへのスケールアップまで一貫した開発体験が組めるようになりました。


また、Build 2026ではNVIDIA GB300 Grace Blackwell Ultraを搭載するDGX Station for Windowsも発表されています。Surface RTX Spark Dev Boxが開発者向けのローカルAI開発機であるのに対し、DGX Station for Windowsは、より大規模なモデルや常時稼働型エージェントをデスクサイドで扱う選択肢として示されました。


Project Solara:エージェント中心のデバイスプラットフォーム

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Project Solaraのプラットフォーム構造 引用:Microsoft commandline

Project Solaraは、エージェント中心のデバイスを支える新しいプラットフォームです。chip-to-cloudの設計で、デバイスとクラウドの境界を越えて状態を持ち回せる構成、AOSPベースのMDEP(Microsoft Device Ecosystem Platform)、ローカルとクラウドのエージェントを動的に呼び出すAgent Shellで構成されます。


バッジ型ポータブル端末や用途特化型の固定端末といった、エージェント実行に特化した小型デバイスが想定されています。

OpenClaw on WindowsとMicrosoft Execution Containers

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OpenClaw on Windows引用:Microsoft Build 2026 Opening Keynote


OpenClawは、AIエージェントを構築・オーケストレーションするオープンソースフレームワークで、Build 2026でWindows上にネイティブ統合されました。具体的には、OpenClawのnodeとgatewayがMicrosoft Execution Containers(MXC)の分離環境内で動作する設計です。MXCは、OSレベルでエージェントの実行をポリシー駆動で隔離する仕組みで、エージェントが利用するファイルやネットワークドメインを、開発者がアプリケーション側で定義したポリシー外のものを実行時にブロックします。


Build 2026では、OpenClawがMXCを活用してWindows上にネイティブ統合され、NVIDIA OpenShellはMXCとの連携が発表されました。Hermes AgentやManusはMXCへの統合予定として言及され、OpenAIは協業・探索の文脈で取り上げられています。

OpenAI CodexやClaude Codeなどのコーディングエージェントについても、Microsoft Purviewによるリスク検出や監査の対象として示されており、Windows端末をエージェントの主要な実行環境として扱う運用が、採用しやすい構成として整いつつあります。


Windows AI APIs拡張

Windows AI APIs 拡張範囲.png
Windows AI APIsの拡張範囲 引用:Windows Developer Blog


Build 2026では、Windows AI APIsの提供範囲がCopilot+ PCを超えてGPU搭載PCやCPUのみのPCにも広がりました。インボックスSLMのGPU対応拡大、Video Super ResolutionのCPU対応、新規のSpeech Recognition API、WebNNサポート、Windows ML 2.0の強化がWindows Developer Blogで公開されました。特定のNPUを持つCopilot+ PCを新規調達しなくても、既存のWindows端末でローカルAIを動かせる選択肢が広がった点が、企業導入における大きな意味を持ちます。


Windows開発者向けの周辺更新としては、Windows Development Skills、Intelligent Terminal、Coreutils for Windows、WSL containersといったツール群もあわせて発表されています(Windows Developer Blog)。

Foundry Localの強化、Aion 1.0オンデバイスSLM、3層 inference routing、Azure Cobalt 200 VMsを含むハードウェア最適化の詳細は、本特集のFoundry Local記事で扱っています。


Physical AI:Microsoft × NVIDIA連携と製造業エッジ

Microsoft × NVIDIA 連携.png
Microsoft AIデータセンター イメージ引用:Microsoft Blog


Build 2026では、ロボティクスや製造現場のような物理世界に紐づくAI、すなわちPhysical AIが独立したテーマとして繰り返し取り上げられました。Opening KeynoteへのNVIDIA CEO Jensen Huangの登壇に象徴されるように、Microsoft × NVIDIAの連携深化がPhysical AI領域の中心的な動きになっています。


中心となる発表は、Microsoft at NVIDIA GTCで示された連携をBuild 2026で実装段階に進めるものです。具体的には、Microsoft Foundry × NVIDIA Nemotronモデル、Microsoft FabricのGPU高速化、Microsoft Azure側のNVIDIA Vera Rubinプラットフォーム・Grace Blackwell GPU展開といったモデル・データ・インフラ三本柱がBuild 2026を経て揃いました。加えて、NVIDIA Cosmos 3、NVIDIA Nemotron 3 Ultra、GitHub Copilotに統合されるNVIDIA OpenShellも示され、Physical AIや長時間稼働するエージェントを支えるモデル・実行環境・安全なランタイムの選択肢が広がっています。

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NVIDIA RTX Sparkスーパーチップ 引用:Microsoft Windows Blog


ハードウェア層でも、Build直前のNVIDIA RTX Spark搭載Windows PC、Surface RTX Spark Dev Box、DGX Station for Windows、Foundry Local on Azure Localのマルチノード対応、Azure Local for Small Form Factor Devicesのパブリックプレビューが揃い、開発機から拠点・工場、現場端末までの実行基盤が一気に繋がっています。

Foundry Local on Azure Local アーキテクチャ.png
Foundry Local on Azure Localのエージェント・ツール連携アーキテクチャ 引用:Microsoft Tech Community


ロボティクス側では、エージェント型アーキテクチャ(reason / plan / collaborate / act)を、ロボットアーム・移動ロボット・ドローンといったヘテロジニアスなハードウェア横断で扱う方向がMicrosoft × NVIDIA Build 2026共同発表で示されました。


Microsoft × NVIDIA連携の三本柱、ロボティクスのエージェント化、Azure Local for Small Form Factor Devices、マルチモーダルデータパイプライン、製造業エッジAIの想定ユースケースの詳細は、本特集のPhysical AI記事で扱っています。


GitHub Copilot:要件整理からマージまでのエージェント化

Build 2026のGitHub Copilot関連発表は、補完中心の開発支援ツールから、要件整理から実装・レビュー・CI/CDまでをエージェントが横断する開発ループへと進化する方向でまとまっています。中心となる新コンポーネントは、GitHub Copilot app、Copilot SDK GA、MAI-Code-1-Flash、Agent Skills、Copilot CLI強化、Copilot code review強化、MCP対応拡大です。

GitHub Copilot app:エージェント駆動の作業環境

GitHub Copilot app My Workビュー.jpg
GitHub Copilot app My Workビュー 引用:GitHub Blog


GitHub Copilot appは、Build 2026に合わせてテクニカルプレビューが拡大したデスクトップアプリです。My Workビューで複数のエージェントセッション・Issue・プルリクエスト・バックグラウンド処理を1か所に集約し、各エージェントは隔離されたGit worktree上で並列動作します。Agent Merge機能では、エージェントがプルリクエスト作成後もCIを監視し、失敗チェックの修正やマージまで自動で進めます。

これまでブラウザ・IDE・ターミナルに分散していた進行中の作業を、デスクトップアプリ1つに集約できる点が、Build 2026のCopilot関連発表の象徴的な変化です。


加えて、GitHub Copilot SDKが一般提供され、Copilotのエージェントランタイムをアプリケーションや社内ツールからプログラム的に利用できるようになりました。これにより、GitHub Copilot appで作業を集約するだけでなく、企業ごとの開発支援ツールにCopilotの計画・ツール呼び出し・ファイル編集・ストリーミング応答を組み込む経路も広がっています。


MAI-Code-1-FlashとCopilotハーネス連携

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MAI-Code-1-Flashベンチマーク 引用:Microsoft AI


MAI-Code-1-Flashは、Copilot最適化のコーディングモデルとして提供される軽量MoE(Mixture-of-Experts)モデルです。GitHub Copilotの本番ハーネスを直接使って訓練されているため、コード補完だけでなくテスト実行・ファイル編集・ターミナル操作・ツール呼び出しを含む、Copilot周辺の挙動が訓練段階から織り込まれています。

具体的なパラメータ規模や対応プランの詳細は、公式の発表ページをご参照ください。


Agent Skillsの標準化とMCP対応拡大

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Agent SkillsのSKILL.md定義例 引用:GitHub Changelog


Agent Skillsは、2025年12月にGitHub Copilot対応が始まった既存機能で、組織独自の作業手順・参照ファイル・トリガー条件をSKILL.mdという規格化されたMarkdownファイルに記述する仕組みです。

Build 2026のCopilot文脈では、既存のAgent Skillsをコードレビュー、Copilot CLI、MCP連携と組み合わせ、組織の作業手順を開発ループ全体で横断利用する流れが強調されました。VS Codeのagent mode、Copilot cloud agent、Copilot code reviewなどから同じSKILL.mdを参照できるため、組織で整備したレビュー観点・テスト方針・デプロイ手順を、ツール非依存で横展開しやすくなります。


Model Context Protocol(MCP)の対応範囲もBuild 2026以降に拡大し、社内システム・SaaS・ナレッジ検索といった外部リソースをCopilotエージェントから扱えるようになりました。Microsoft Foundry側でもMCPやFoundry Toolboxesを介した連携設計がWhat's new in Microsoft Foundry | Build 2026で示されており、Copilotから社内システム、Microsoft 365、Microsoft Foundryを横断する経路が整いつつあります。


GitHub Copilot appの詳細、Cloud / Local sandboxes、Copilot code review、Microsoft Build-CLIなどの掘り下げは、本特集のGitHub Copilot記事で扱っています。


データ基盤:Microsoft Fabric × Rayfin × Azure HorizonDB

Build 2026では、AIエージェントが扱う業務データの基盤として、Microsoft Fabric関連の新発表と、Microsoft Databases側のAI-ready PostgreSQLが並行で発表されました。データ基盤側の発表は、エージェントが安全に扱える業務データの整備という意味で、Microsoft IQやMicrosoft Foundryの強化と並ぶ重要なレイヤーです。

Rayfin:エンタープライズ向けアプリバックエンド

Rayfin Fabric Apps アーキテクチャ.png

Rayfin / Fabric Appsのアーキテクチャ 引用:Microsoft Learn


Rayfinは、データモデル・API・認証・アクセス制御・ビジネスロジックといったアプリケーションのバックエンドを、コードとして定義してMicrosoft FabricにデプロイするオープンソースSDKおよびCLIです。TypeScriptでデータモデルを定義し、npx rayfin upコマンドでFabric上のFabric Appsとしてデプロイできる構成になります。


Rayfinが特徴的なのは、GitHub Copilotなどのコーディングエージェントが直接利用することを前提に設計されている点です。データモデルもアクセス制御も、すべてコードとして表現されているため、エージェントがアプリケーション全体を一貫したコードベースとして扱えます。


Fabric Data WarehouseのGPU高速化(CoddSpeed)

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CoddSpeedによるFabric Data Warehouseの性能比較 引用:Microsoft Fabric Updates Blog


Fabric Data WarehouseのGPU高速化(Early Access Preview)は、Microsoft内部で「CoddSpeed」と呼ばれるGPU実行エンジンをFabric Data Warehouseに組み込んだ強化です。今後数週間以内にEarly Access Previewとして提供開始される見込みで、Fabric Analytics at Build 2026で公開されているとおり、内部ベンチマークでは競合する3つのクラウドデータウェアハウスと比較して最大7倍の性能、Fabricデータエージェントとの組み合わせでエンドツーエンド応答時間が最大50%短縮されたと示されています。


クエリの書き換えや新たなクラスタの管理は不要で、ワークスペース設定からの有効化のみで適用される設計です。


Azure HorizonDB:AI-ready PostgreSQL

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Azure HorizonDBのAI機能概要 引用:Microsoft Learn


Azure HorizonDBは、PostgreSQL互換のフルマネージド型データベースサービスで、Build 2026のタイミングでパブリックプレビューが開始されました。分離型のコンピュートとストレージ、database-as-a-log設計、最大128 TBのデータベースサイズ、ベクトル検索(DiskANN with spherical quantization)の組み込み、azure_ai拡張によるAI Functions・AIモデル管理・AIパイプラインといった特徴を備えます。

重要な点として、Azure HorizonDBはMicrosoft Fabricの新機能ではなく、Microsoft Databases側のAI-ready PostgreSQL発表として位置づけられています。Fabric Data Warehouseの代替ではなく、トランザクション処理側のデータベースとして、OneLakeへのミラーリングを通じてFabric側の分析基盤と連携する構成が想定されています。


Rayfinの実装パターン、CoddSpeedの技術背景、Fabric IQのBuild 2026強化、Multi-Agent Workflow on Fabric、Azure HorizonDBとFabricの組み合わせなどは、本特集のMicrosoft Fabric記事で扱っています。


MAIモデル群:Microsoft自社AIモデル7本立て

Build 2026 7つの新AIモデル.png
Build 2026で発表されたMAIモデル群 引用:Microsoft Build 2026 Opening Keynote


Build 2026で発表された大きな転換点のひとつが、Microsoftが自社開発のMAI(Microsoft AI)モデル群を7本立てで投入したことです。


Mustafa Suleymanの講演「Building a hill-climbing machine: Launching seven new MAI Models」では、Microsoft自社モデルを「OpenAIモデル・Anthropic Claudeとあわせて使い分ける選択肢のひとつ」として位置付ける構図が示されました。


Build 2026で発表されたMAI 7モデル

Build 2026で公開された7モデルは以下のとおりです。

モデル名

主な用途

特徴

MAI-Thinking-1

複雑問題の推論

SWE-Bench Proなど推論ベンチマークで上位、ブラインド人手比較評価で

Sonnet 4.6と同等水準

MAI-Code-1-Flash

コーディング

GitHub CopilotとVS Code向けに最適化、Copilotハーネスで訓練された軽量モデル

MAI-Image-2.5

画像生成

テキスト/写真プロンプトから生成、Arena ELOで上位

MAI-Image-2.5-Flash

軽量画像生成

高速応答が必要な画像生成タスク向け

MAI-Voice-2

音声生成

エージェントの音声出力向け

MAI-Voice-2-Flash

軽量音声生成

低レイテンシ用途

MAI-Transcribe-1.5

音声書き起こし

FLEURS精度で業界トップレベル、ノイズ環境にも対応

この表からわかるのは、Microsoftが推論・コーディング・画像生成・音声・書き起こしという、エージェントが扱う主要モダリティすべてに対して自社モデルを揃えた点です。特にMAI-Code-1-FlashはGitHub Copilotの本番ハーネスを直接使って訓練されたという設計が示されており、Copilotとの組み合わせを前提に最適化が進められています。


既存モデルとの位置づけ

MAIモデル群は、OpenAIモデルやAnthropic Claudeを置き換えるものではなく、用途ごとに使い分ける選択肢として提供されます。VS CodeのモデルピッカーやMicrosoft Foundryのモデルカタログから、OpenAI・Anthropic・Google・MicrosoftのMAI系を切り替えて使う運用が想定されています。

加えて、Build 2026では、Microsoft AIとMayo ClinicとのヘルスケアフロンティアAIモデル共同開発も発表されています。Microsoftが汎用モデルだけでなく、医療をはじめとする特定ドメインにおいてもパートナーと自社モデル開発を進めていく動きとして位置付けられます。


MAIモデル群はBuild 2026のタイミングでは段階的な提供拡大の途中にあり、対応プランや利用条件は今後変わる可能性があります。Build 2026時点で公開されている各モデルの詳細はMicrosoft AI公式ニュースをご参照ください。

MAI-Code-1-FlashのGitHub Copilotでの提供開始や、Copilot周りの開発ループでの位置づけは、本特集のGitHub Copilot記事でも扱っています。


Build 2026周辺の注目発表:Discovery、Majorana 2、Cobalt 200、Container Apps Sandboxes

ここまで紹介した主要領域に加えて、Build 2026では研究開発・量子・インフラの領域でも複数の新発表がありました。本セクションでは、エージェント基盤の文脈で押さえておきたい4つの注目発表を短く整理します。


Microsoft Discovery:研究開発向けエージェントプラットフォームのGA

Microsoft Discovery アプリ画面.png
Microsoft Discoveryのワークスペース画面 引用:Microsoft Azure Blog


Microsoft Discoveryは、研究・開発向けにAIエージェントチームを展開するためのプラットフォームで、Build 2026のタイミングで一般提供(GA)が開始されました。特化型のAIエージェント・ナレッジグラフ・シミュレーション・ラボワークフローを組み合わせ、研究者が科学的手法をより速く回せる仕組みです。

Build 2026にあわせて、コア機能をローカルで利用できるMicrosoft Discovery appのプレビューも公開され、GitHub Copilotアカウントがあれば個人でも無償で利用を始められます。


後述するMajorana 2の材料スタック設計でも、Microsoft Discoveryのエージェント機能が活用されたと公式に説明されています。


Majorana 2:トポロジカル量子プロセッサの大幅な信頼性改善

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Majorana 2量子プロセッサ 引用:Microsoft Source


Majorana 2は、Microsoft自社開発のトポロジカル量子プロセッサで、Build 2026にあわせて発表されました。Majorana 1で1〜12ミリ秒だったqubitライフタイムが、約20秒に延長され、1,000倍以上の信頼性改善が示されています。これは材料スタックをアルミニウムから鉛(Pb)に変更し、半導体側もインジウム砒素とインジウム砒素アンチモニドに更新したことによるものです。


この改善により、Microsoftはスケーラブル量子コンピュータの提供時期を従来想定から半分に縮め、2029年を目標としています。AIによる材料設計支援が時間短縮に寄与した点も公式に説明されています。


Azure Cobalt 200 VMs:エージェント向けクラウドCPU基盤

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Azure Cobalt 200の性能比較 引用:Microsoft Azure Blog


Azure Cobalt 200 VMsは、Microsoft内製の次世代Arm CPUを搭載したVMファミリーです。前世代のCobalt 100比でCPU性能が最大50%向上、NVMeリモートストレージIOPSが20%向上、ネットワーク帯域幅が15%向上したと示されています。最大128 vCPUまでスケールし、スケールアウト型・クラウドネイティブ・Linuxベースのagentic AIワークロード向けのCPU基盤として位置づけられます。

エージェントのオーケストレーションやデータ処理、業務ロジックの実行を担う層に向いた選択肢です。AI推論そのものは別軸のAIアクセラレータ(Microsoft自社ではMaia 200)が担う領域となります。


Azure Container Apps Sandboxes:エージェント向けクラウドサンドボックス

Azure Container Apps Sandboxes 動作図.png
Azure Container Apps Sandboxesの動作図 引用:Microsoft Community Hub


Azure Container Apps Sandboxesは、Build 2026で発表されたエージェント向けのクラウドサンドボックス基盤で、2026年6月2日にパブリックプレビューが公開されました。端末側のMicrosoft Execution Containersとあわせて、エージェント実行の標準的なサンドボックス基盤としてMicrosoftが提示しています。

エージェントが端末側のリソースに触れる処理は端末側のサンドボックスで、外部APIを呼び出す処理やデータ集計はクラウド側のサンドボックスで実行する、といった役割分担を組めるようになっています。


Build 2026から読む全体トレンド:モデル・データ・開発環境・ガバナンスの接続

ここまで領域別に発表内容をご紹介してきましたが、Build 2026を全体として見ると、Microsoftがモデル・データ・開発環境・ガバナンスの4層を、エージェントを軸に接続し直していることが見えてきます。


4層の接続関係

Build 2026の発表を、エージェントを支える4層の関係として整理すると以下の表になります。

主な構成要素

Build 2026での強化

モデル

MAIモデル群、OpenAI・Anthropicモデル、オンデバイスSLM

MAIモデル7本立て、Frontier Tuning、Aion 1.0 Instruct / Plan

データ

Microsoft Fabric、OneLake、Microsoft IQ、Azure HorizonDB

Web IQ、Work IQ APIs、CoddSpeed、Rayfin、Fabric IQ強化、Power BIのAgent Skills

開発環境

Microsoft Foundry、GitHub Copilot、Windows AI、Foundry Local

Foundry Toolkit GA、Toolboxes強化、Copilot app、Copilot SDK GA、MAI-Code-1-Flash、Surface RTX Spark Dev Box

ガバナンス

Microsoft Agent 365、Microsoft Purview、Microsoft Entra、Microsoft Defender

Agent 365 SDK、Windows 365 for Agents GA、MDASH、ASSERT、ACS、MXC統合


この表からわかるのは、Microsoftが4層それぞれを単独で強化するのではなく、4層がエージェントを軸に縦に接続する形でアップデートを揃えてきている点です。たとえばMAI-Code-1-FlashはCopilotハーネスで訓練され、Foundry IQはWeb IQ統合で外部Web文脈を扱えるようになり、Agent 365 SDKはAgent ControlsをFoundryから扱えるようになっています。


クラウド一辺倒からハイブリッド・エッジ・オンデバイスへ

Build 2026で示されたもうひとつの大きな方向性は、AIの実行場所がクラウド一辺倒から、ハイブリッド・エッジ・オンデバイスへと広がっていく動きです。Foundry Localの強化、Windows AI APIsの拡張、Foundry Local on Azure Local、Surface RTX Spark Dev Box、Project Solaraといった発表は、いずれもこの方向性を支えるものです。


特に製造業や半導体製造装置・電子部品・FA制御系のように、現場で生まれたデータをそのまま現場で処理したい業務では、エッジやWindows端末での実行が、有力な選択肢として整いつつあります。クラウド・オンプレ・エッジ・Windows端末の4層を業務単位で使い分け、必要な層で必要な規模のモデルを動かす設計が可能になりました。

製造業で押さえておきたい3つのポイント

製造業(半導体製造装置・電子部品・FA制御系)の文脈で、Build 2026の発表を整理すると次の3点が押さえどころとなります。

  • エージェント実装基盤がBuild 2026のタイミングで揃った:Microsoft Foundry・Foundry Local・Microsoft IQ・Agent 365の組み合わせで、エージェントの設計から運用までの経路が公式ドキュメントから一通り辿れる状態になりました。
  • オンデバイス・エッジ実行の選択肢が広がった:Foundry Local、Windows AI APIs、Foundry Local on Azure Local、Surface RTX Spark Dev Boxにより、現場で生まれたデータを現場で処理する構成が組みやすくなりました。
  • データ基盤からエージェントへの経路がフラットになった:Microsoft Fabric × Microsoft IQ × Microsoft Foundryの組み合わせで、業務データをエージェント実行基盤に渡す経路が単純化されています。


これらを段階的に評価していく際には、まず1業務に対して1エージェントの構成から始め、データ基盤・実行基盤・統制レイヤーが想定どおり機能するかを検証したうえで、横展開を進める方法が有効です。プレビュー段階の機能も多いため、最新情報を公式ドキュメントで確認しつつ、中長期的な視点で技術選定を行うことを推奨します。


まとめ

本記事では、Microsoft Build 2026で発表された主要な新機能・新製品を、MAIモデル群、エージェント領域、Microsoft Foundry、Windows AI、Physical AI、GitHub Copilot、データ基盤、その他のインフラ・基盤発表という主要領域で横断的にご紹介しました。

Build 2026を貫く大きな方向性は、エージェントを作る・動かす・管理する・業務データにつなぐの4レイヤーをMicrosoftがプロダクトラインで揃えてきた点にあります。MAIモデル群によって自社モデルが7本立てで揃い、Microsoft FoundryとAgent 365でエージェントの開発と統制の経路が整い、Foundry LocalとWindows AIで実行場所の選択肢がクラウドからWindows端末まで広がりました。同時に、Microsoft IQの4層整理(Foundry IQ・Fabric IQ・Work IQ・Web IQ)と、Microsoft Fabricのデータ基盤強化により、エージェントが扱える業務データの範囲も再整理されています。


各テーマの詳細は、本特集の残り5本(Fabric/Microsoft IQ/Foundry Local/Physical AI/GitHub Copilot)で個別に扱っています。ぜひご参照ください。


東京エレクトロンデバイスでは、Microsoft Build 2026で発表されたエージェント基盤・モデル・データ基盤・開発環境・ガバナンスを組み合わせたAI導入を総合的にサポートしています。
Microsoft Foundryでのエージェント設計、Microsoft Fabricでのデータ基盤構築、Foundry LocalでのオンデバイスAI実行、Agent 365を含むガバナンス設計、GitHub Copilotを軸にした開発体験の刷新など、Build 2026以降の企業AI導入に関するご相談をお受けしています。

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