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Microsoft Azureコラム

2026/02/22

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MicrosoftのFabric Activatorとは?イベント駆動型の自動化を実現する新機能を解説

日々生成される膨大なデータの中から、ビジネスに影響を与える変化や異常の予兆をリアルタイムで捉え、即座に対応することは多くの企業にとって重要な課題です。Microsoft Fabricの「Activator」は、この課題に応えるためのイベント駆動型自動化機能です。


この機能は、Power BIレポートやリアルタイムのイベントストリームといったデータソースを常時監視し、事前に定義した条件が満たされると、Teamsへの通知やPower Automateフローの実行といったアクションを自動で起動します。


本記事では、Microsoft Fabric Activatorの基本的な仕組みから、具体的な利用手順、料金体系、そして設備の予知保全や販売機会の検知といった実践的な活用シナリオまでを網羅的に解説します。


データに基づいた迅速な意思決定と、業務プロセスの自動化に関心のある方にとって、本記事がその導入検討の一助となれば幸いです。


東京エレクトロンデバイスは、Microsoft Fabricをはじめとするデータ分析基盤の構築・活用を支援しています。

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Microsoft Fabric Activatorとは?

Microsoft Fabric Activator(旧称:Data Activator)は、リアルタイムデータストリームやPower BIレポートなどのデータソースを監視し、条件が満たされたときに自動でアクションを実行する、Microsoft Fabricのイベント駆動型自動化機能です。

監視や自動化はノーコード/ローコード環境で構築できるため、専門的なプログラミング知識は不要です。


従来はダッシュボードやレポートを手動で確認し、異常値や特定の傾向を見つけてから手動で対応していましたが、Microsoft Fabric Activatorはこの流れを自動化します。

ルール条件を満たすと、Teamsやメールでの通知、Power Automateフローの実行、さらにFabric内のパイプラインやノートブックの起動など、事前に設定したアクションを即時に実行できます。


Microsoft Fabricとは?

Microsoft Fabricは、データ分析に関わるプロセスを単一の環境に統合した、エンドツーエンドの分析プラットフォームです。SaaSとして提供されるため、ユーザーはインフラ構築や管理を気にすることなくデータ活用に集中できます。


Microsoft Fabricの特徴は、大きく分けて「エクスペリエンス」と「OneLake」にあります。


エクスペリエンス

データ統合、リアルタイム分析、ビジネスインテリジェンス(BI)などの機能をワークロード単位で提供します。

Microsoft Fabric Activatorは、このうち「リアルタイムインテリジェンス」エクスペリエンスに含まれます。


OneLake

組織内のあらゆるデータを一元管理するデータレイクで、オープンなDelta-Parquet形式で保存されます。

この形式はベンダーロックインのリスクを低減し、幅広い分析ツールとの互換性を確保します。


この統合環境により、複雑な接続設定なしに多様なデータソースへアクセスし、分析や自動化を実行できるのがMicrosoft Fabricの強みです。


Microsoft Fabric Activatorの主な構成

Microsoft Fabric Activatorは、データ監視からアクション実行までの一連のプロセスを自動化するために、いくつかのコンポーネントで構成されています。

以下で5つのコンポーネントごとに解説します。


データソース

Microsoft Fabric Activatorが監視対象とするデータは、主に以下の2つの方法で収集します。


イベントストリーム

IoTデバイスのセンサーデータ、Webサイトのクリックストリームなど、高速かつ大量に発生するリアルタイムのイベントデータを処理するための機能です。

Microsoft Fabric Activatorはイベントストリームに接続することで、発生したイベントをリアルタイムで監視できます。  


Power BI レポート

企業が蓄積したデータを分析し、可視化するために作成されたレポートです。Microsoft Fabric Activatorは、Power BIレポート内の特定のグラフや表を監視し、KPI(重要業績評価指標)やビジネス指標の変動を検出します。


オブジェクト

オブジェクトとは、Microsoft Fabric Activatorが監視する個々のエンティティを指します。

これは物理的なもの(例:配送トラック、工場の機械)であることもあれば、概念的なもの(例:顧客アカウント、販売キャンペーン)であることもあります。  


データストリーム内では、これらのオブジェクトは一意のID(例:PackageId、CustomerId)で識別されます。オブジェクトという概念により、Microsoft Fabric Activatorは何千、何万という監視対象を個別に追跡し、それぞれの状態を管理することが可能になります。


プロパティ

プロパティは、オブジェクトが持つ監視対象の属性値です。例えば、「荷物」オブジェクトであれば「温度」や「湿度」、「顧客アカウント」オブジェクトであれば「口座残高」などがプロパティにあたります。  


ルール

ルールは、Microsoft Fabric Activatorにおいて、どのような条件が満たされたときにアクションを起動するかを定義します。ルールには大きく分けて以下の2つのタイプがあります。


  • ステートレス:各イベントを独立して評価するルールです。例えば、「温度が20度より大きい」といった条件がこれにあたります。


  • ステートフル:オブジェクトごとに過去の状態を記憶し、状態の変化を検知するルールです。例えば、「1時間前の温度を超える」といった条件がこれにあたります。


アクション

ルールで定義した条件が満たされた際に実行される処理がアクションです。Microsoft Fabric Activatorは、標準で以下のようなアクションをサポートしています。  


  • Microsoft Teamsメッセージ・電子メール:指定したユーザーやチャネルにTeams・電子メールでメッセージを送信します。


  • Fabricアイテムの実行:Data FactoryのパイプラインやData Engineeringのノートブックなど、他のFabricアイテムを起動します。


  • Power Automateフローの実行:Power Automateのフローを呼び出します。データ登録や外部システムとの連携など、より複雑で広範な業務プロセスを自動化できます。


Microsoft Fabric Activatorの料金

Microsoft Fabric Activatorは単独で課金されるサービスではなく、Microsoft Fabricのリアルタイムインテリジェンス機能の一部として利用されます。

そのため、料金はMicrosoft Fabric全体の「容量ユニット(Capacity Unit)」の使用量に基づいて発生します。


容量ユニットは、データ処理やアクション実行などのコンピューティングリソース消費量を表す単位で、SKU(プラン)ごとに固定のCU数と料金が設定されています。以下は2025年8月時点のMicrosoft Fabric公式料金表です。


SKU

容量ユニット

従量課金制

予約料金(月額)

F2

2

$262.80

$156.334

F4

4

$525.60

$312.667

F8

8

$1,051.20

$625.334

F16

16

$2,102.40

$1,250.667

F32

32

$4,204.80

$2,501.334

F64

64

$8,409.60

$5,002.667

F128

128

$16,819.20

$10,005.334

F256

256

| $33,638.40

$20,010.667

F512

512

$67,276.80

$40,021.334

F1024

1024

$134,553.60

$80,042.667

F2048

2048

$269,107.20

$160,085.334

Microsoft Fabric Activatorの場合、ルールがアクティブに実行されている時間だけ容量ユニットを消費します。そのため、必要なタイミングだけルールを有効化する運用により、コスト増加を抑えられます。

※上記料金は2025年8月時点での情報です。最新の料金情報はMicrosoft Fabric公式料金ページをご確認ください。


Microsoft Fabric Activatorの利用手順

それでは、実際にMicrosoft Fabric Activatorを利用する手順をステップごとにご説明します。


1. Microsoft Fabricにアクセス

Microsoft Fabricポータルにアクセスし、サイドバーから「作成」を選択しましょう。


2_Microsoft Fabricにアクセス.png

Microsoft Fabricにアクセス


2. Microsoft Fabric Activatorにアクセス

「Real-Time Intelligence」セクションで、「アクティベーター」を選択しましょう。


3_Microsoft Fabric Activatorにアクセス.png

Microsoft Fabric Activatorにアクセス


3. データソースの選択

「データの取得」から、利用しているデータソースを選択しましょう。選択が完了すると自動的に接続が行われます。

5_ルールの作成.png

データソースの選択


4. ルールの作成


データソースとの接続が完了すると、データの状態が表示されます。「新しいルール」を選択し、ルールの条件となるデータの値やアクションを設定しましょう。

5_ルールの作成.png

ルールの作成


上記のステップで、Microsoft Fabric Activatorの利用が可能です。Microsoft Fabric Activatorにアクセスした際に案内のウィザードも表示されるので、そちらも参考に導入を検討してください。



Microsoft Fabric Activatorの活用デモ

このセクションでは、Microsoftが提供しているサンプルイベントストリームをデータソースとして接続し、リアルタイムにアクションを実行するデモを行います。


まずは利用手順に沿ってデータソースの選択を行いますが、ここで「サンプルシナリオ」を選択します。ここでは、配達中の荷物についてのイベントストリームを選択しました。

6_サンプルシナリオの選択.png

サンプルシナリオの選択


接続が完了したので、以下のようなルールを作成しました。「湿度が58%を超えた荷物が検知された場合、自動で電子メールを送信する」という条件です。


7_ルールの作成(デモ).png

ルールの作成(デモ)


待機すると以下のように電子メールが届き、アクションが正しく実行されていることが確認できました。


8_電子メールの通知.png

電子メールの通知


Microsoft Fabric Activatorを利用する上でのポイント

Microsoft Fabric Activatorを効果的に活用するには、ルール設計やデータソースの準備においていくつかのポイントを押さえることが重要です。以下は、運用時に特に役立つベストプラクティスです。


状態を意識したルール設計

「>(より大きい)」や「<(より小さい)」などのステートレス条件は、条件を満たしている限り継続的にアラートを発生させます。

一方、「BECOMES(〜になる)」「INCREASES(増加する)」などのステートフル条件は、状態が変化した瞬間だけを検知します。


不要なアラートや処理回数を減らすために、状態変化を捉えるステートフル条件を適切に使い分けましょう。


アラート対象の明確化

Power BIレポートのビジュアルからアラートを作成する場合、そのビジュアルのコンテキストを事前に理解することが大切です。

例えば、複数系列を持つグラフにアラートを設定すると、系列ごとに個別の監視ルールが自動生成され、想定外にアラート数が増えることがあります。


これを防ぐには、事前にフィルターで対象を絞り込んでからアラートを設定します。


一意なオブジェクトIDの設定

オブジェクトIDは監視対象の一意性を担保するキーです。重複や欠損値があると、ルールが正しく実行されない、あるいは誤検知の原因になります。

監視対象のデータモデルを確認し、永続的かつ一意なIDを選定しましょう。


実行頻度とコストの管理

ルールが有効化されている間は容量ユニット(CU)を消費します。

高頻度で発生するイベントを監視する場合は、実行頻度を調整したり、必要な時間帯だけルールを有効化することで、コストの増加を抑えられます。


これらのコツを意識することで、Microsoft Fabric Activatorの誤検知やコスト超過を防ぎ、より安定した自動化運用が可能になります。


Microsoft Fabric Activatorの活用シーン

Microsoft Fabric Activatorは、リアルタイムデータの監視と自動アクション実行により、さまざまな業務課題を解決できます。以下に代表的な3つの活用シーンをご紹介します。


設備の予知保全

製造業の現場では、突発的な設備故障が生産停止や納期遅延の大きな原因となります。


Microsoft Fabric Activatorは、IoTセンサーから取得した温度・振動・圧力などのデータをリアルタイムで監視し、異常値やパターンの変化を検知します。

検知後はTeamsで保守担当者に通知し、Power Automateを経由して保守管理システムに作業指示を登録。これにより、故障発生前の計画的なメンテナンス(予知保全)が可能になり、ダウンタイムと修理コストを削減できます。


販売機会の検知

小売・EC事業では、在庫切れや販売機会の損失を避けることが重要です。

POSデータやオンライン販売データを集約したPower BIレポートを監視対象とし、特定商品の売上急増や在庫低下を即時に検出します。


在庫が閾値を下回った場合は購買担当にメールで通知、売上急増時はマーケティング部門へTeams通知を送信し、迅速な再発注や販促施策を実行できます。


不正利用の検知

金融・決済分野では、不正取引の早期発見が顧客保護に直結します。

Microsoft Fabric Activatorは、クレジットカードやオンラインバンキングの取引データを常時監視し、通常の利用パターンから逸脱した異常な取引を検知します。


検知後はPower Automateで該当アカウントを一時ロックし、顧客へ確認メールを自動送信。これにより、不正被害を最小限に抑えることができます。


上記のように、Microsoft Fabric Activatorは製造業から小売、金融まで幅広い分野で、事後対応型から予防・即応型への転換を実現します。

リアルタイム監視と自動化の組み合わせにより、業務効率化とリスク低減を同時に達成できます。


Microsoft Fabric Activator利用時の注意点

Microsoft Fabric Activatorは有用なツールですが、効果的に活用するためにはいくつかの制約や留意点があります。


以下に主な注意点を整理します。


サポートされていない機能

2025年8月時点で、以下の機能は非対応となっています。


  • 一部のPower BIビジュアル

 緯度・経度フィールドを使用するマップビジュアルなどは、アラート作成ができません。

  • 一部データソースでのライフサイクル管理

 Power BIやAzure Blob Storage Eventsをデータソースに利用する場合、FabricのデプロイパイプラインやGit統合などのライフサイクル管理機能と連携できません。

  • アラート作成非対応のソース

 動的Mパラメーターを使用したレポートや、Fabric/Power BI容量メトリックアプリはアラート作成がサポートされていません。


実行回数の上限

システムの過負荷や通知のスパム化を防ぐため、Microsoft Fabric Activatorにはアクションの種類ごとに実行回数の上限が設けられています。

特に高頻度でイベントが発生するデータを扱う場合は、これらの制限に抵触しないようにルールを設計する必要があります。


以下に、主なアクションの実行回数制限をまとめた表を示します。

アクション

スコープ

上限

Teams・電子メール

ルール/ユーザー/時

30メッセージ

Power Automateフローの実行

ルール/時間

10,000実行

Fabricアイテムの実行

ユーザー/分

50実行

さらに、イベントストリームではルールで処理できるイベント数が最大1秒あたり1,000件に制限されています。

大量イベントを扱う場合は、条件を絞り込んで不要な処理を抑えることが推奨されます。


監査の制約

現時点で、Microsoft Fabric Activatorには詳細な実行ログや変更履歴を取得する監査機能がありません。 「誰が、いつ、どのルールを変更したか」といった履歴や、ルール稼働状況のプログラム的監視は難しいため、監査要件がある場合は外部ツールとの併用を検討する必要があります。


まとめ

本記事では、Microsoft Fabric Activatorの基本的な機能や構成、料金体系、具体的な利用手順、活用事例、注意点について詳しく解説しました。


Microsoft Fabric Activatorは、データの変化をリアルタイムで監視し、自動的にアクションを実行することで、ビジネスの効率化や意思決定を支援するツールです。

設備の予知保全や販売機会の検知、不正利用の防止といった様々な場面での活用が期待されます。一方で、サポートされていない機能や実行回数の制限といった注意点も理解しておく必要があります。


Microsoft Fabric Activatorを導入する際はこれらの特徴を踏まえ、ニーズに合わせた最適な活用方法を検討してください。

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