MicrosoftのCopilot in Azureとは?
Copilot in Azureとは、Microsoft Azure環境での操作・管理を支援するAIアシスタント機能です。大規模言語モデル(LLM)とAzureのコントロールプレーン、ユーザーが管理するリソース情報を連携させ、自然言語による対話を通じて、設定変更や分析支援、問題解決などをサポートします。
この機能は、Azureポータルやモバイルアプリ、AI Shellといった複数のインターフェースから利用でき、ユーザーは「仮想マシンのリソース使用率を確認したい」や「この環境でコスト最適化のアドバイスを教えて」といった問いかけを自然言語で入力するだけで、Azure上の作業を効率化できます。
Microsoftは、Azureにおける生産性の向上や学習支援を目的としてCopilotを提供しており、Azureの数百種類におよぶサービス・リソースを横断的に活用できる点が大きな特徴です。また、ユーザーごとのアクセス権や実行権限に基づいて適切に制御されるため、セキュリティやガバナンスにも配慮されています。
※コントロールプレーンとは、Azure上の仮想マシンやストレージなどのリソースに対して、作成・変更・削除・設定といった操作を行う管理レイヤーです。Azure Resource Manager(ARM)やポータル、CLI、PowerShellなどが該当します。

Microsoft Copilot in Azureイメージ(参考:Microsoft)
Copilot in Azureの主な機能とできること
Copilot in Azureは、情報の取得からAzureリソースの操作、トラブルシューティング、構成の最適化、コード生成まで、Azureの運用ライフサイクル全体を支援するAIアシスタントです。
主な機能は以下の5領域に整理できます。
1. Azure環境の把握と情報の取得
Copilot in Azureは、Azure環境に関するさまざまな情報を、自然言語での問い合わせを通じて取得できます。Azure Resource Graphや監視データを活用し、状況の把握や意思決定に役立ちます。
- 仮想マシン・ストレージ・ネットワーク構成の状態確認
- サービス正常性(Service Health / Resource Health)の確認
- コスト分析やコスト傾向の把握
- Azure SQL Databaseやリソース診断画面の要約
- 通知センターに表示されるエラー内容の説明
2. 設計と構成に関する提案
Azure Well-ArchitectedフレームワークやAzure Advisorと連携し、信頼性、セキュリティ、コスト最適化、運用性といった観点から改善案を提示します。

Azure Well-Architectedフレームワーク(参考:Microsoft)
- 「信頼性に関する推奨事項を表示」→ Advisorのリンク付き一覧表示
- 「コストを削減するには?」→ 使用状況・パフォーマンスに基づく最適化案
- 「分散キャッシュに適したサービスは?」→ Redisなどの提案とその理由
3. トラブルシューティングと診断支援
Copilot in Azureは、障害発生時や構成エラーの原因特定、修復アドバイスに対応し、エンジニアによる初動対応を支援します。
- 「このVMがインターネットに接続できない理由を教えて」
- NSGやルートテーブル、DNS設定の調査フローを提示
- 「Power BIからAzure Databaseに接続できない」などのアプリ連携問題の特定
- 「このページの概要を表示して」→診断ビューの簡易要約
4. 操作の自動化と実行支援
Copilot in Azureは、ユーザーの権限内でAzureリソースに対する具体的な操作を実行できます。すべての操作はユーザーの確認を経て行われ、安全性が確保されます。
- 仮想マシンの再起動、停止、削除
- ストレージアカウントやAKSのバックアップ構成
- ポータル設定の変更(例:「ダークテーマに切り替えて」)
- 10件以内の一括操作にも対応
5. コード・スクリプト・テンプレートの生成
Copilot in Azureは、インフラ構成やデプロイのためのコード自動生成にも対応しています。開発者・運用担当者の生産性を高める機能として注目されています。
- Azure CLI / PowerShell スクリプトの生成
- Terraform / Bicep構成ファイルの作成
- Kubernetes YAML、API Managementポリシーの生成
- コマンドラインでの自然言語→コマンド変換(AI Shellとの連携)
このように、Copilot in Azureは、情報取得から実行支援、コード生成までを網羅するクラウド運用の多機能AIアシスタントです。
特に、プロンプトの工夫や使用スタイルに応じて、活用の幅はさらに広がります。
Copilot in Azureの使い方とプロンプト設計のコツ
Copilot in Azureは、ユーザーの目的やスキルレベルに応じて、4つのスタイルで活用できます。操作の内容や期待する支援レベルに応じて、使い分けることができます。
また、プロンプト(入力指示)の質によって応答の有用性が大きく左右されるため、プロンプトの作成方法も併せて理解しておくことが重要です。
1. 質問する(Ask Copilot)
最も基本的な使い方は、Azureに関する質問を自然言語で入力し、回答を得る方法です。Azureポータルのあらゆる画面から呼び出せるため、学習・運用どちらの場面でも活用できます。
- 質問例(学習):「Azure API Managementの用途は?」「イベント駆動型処理の構成方法は?」
- 質問例(運用):「現在稼働中のVMは?」「影響を受けているサービス停止はある?」
効果的なプロンプトのコツ
- あいまいな表現は避ける:「パフォーマンスを見せてください」ではなく「過去24時間のAzure SQL Databaseのパフォーマンスを表示してください」と明確にする
- Azure用語を使う:リソース名やサービス名(例:Azure Functions、Resource Groupなど)を明記する
- 目的・背景を伝える:「IoTデバイスからのデータを処理するためのAzure関数をデプロイしたい」とタスクの文脈を含める
2. 提案を受け入れる(Accept suggestion)
Copilotからの推奨を確認・採用するスタイルです。ベストプラクティスや構成最適化の提案を受けて、意思決定を効率化できます。
- 提案例(構成支援):「分散キャッシュに最適なサービスは?」→ Azure Cache for Redis などを提示
- 提案例(コスト最適化):「コスト効率の高いVMを選びたい」→ 適切なSKUやリザーブドインスタンスの案内
効果的なプロンプトのコツ
- 目的を明確にする:「テスト用Webアプリのために軽量な構成を提案してください」
- 期待する形式を指定する:「比較表で提示してください」「3つの候補をリストアップしてください」
3. 変更を加える(Guided changes)
設定変更や構成の見直しを、Copilotのガイドに従って実行する方法です。複雑な設定でもステップごとに実行できるため、ミスを防ぎながら進められます。
- 例(UI設定):「テーマをダークモードにしてください」
- 例(構成変更):「このVMのネットワーク設定を段階的に見直したい」
効果的なプロンプトのコツ
- 段階的に依頼する:「まず現在のNSG設定を確認してください」「次にポート443の許可を追加してください」
- 希望の手順数を伝える:「3ステップ以内で構成を最適化したい」
4. アクションを実行する(Take action)
CopilotがAzureリソースへの操作を代行して実行するスタイルです。事前確認を経て、実際のデプロイや変更、復元操作などを行います。
- 例(操作実行):「このVMを再起動してください」「Storage1234というストレージアカウントを復元してください」
- 例(コード生成):「TestRGリソースグループに、Standard\_LRSのストレージアカウントを作成するCLIを生成してください」
効果的なプロンプトのコツ
- 明示的なパラメーター指定:「EastUSに作成」「Standard\_LRSで」
- 希望言語を指定:「Terraform形式で出力してください」「YAMLで教えてください」
応答がうまくいかないときの調整法(フィードバックループ)
- 一部だけ修正依頼:「この出力でネットワーク構成の部分だけ再調整して」
- 前の出力を踏まえて再依頼:「さきほどの設定案に、バックアップ構成も加えてください」
- Copilotのサムズアップ・ダウン機能で直接フィードバックを送信
このように、使い方のスタイルに合わせてプロンプトを工夫することで、Copilot in Azureの応答品質を最大化できます。シンプルな問い合わせから複雑な構成の自動化まで、活用の幅を広げていくためには、プロンプト設計の意識が不可欠です。
実際にCopilot in Azureを使ってみましょう
Copilot in Azureは、Azure環境に統合されたAIアシスタントです。AzureポータルやCLI、モバイルアプリを通じて、対話形式での操作支援やリソース管理を実現します。このセクションでは、利用条件の確認と、主要な利用方法ごとの操作手順を紹介します。
利用前の確認事項
1. 契約と利用条項
Copilot in Azureは、Microsoft Azureの製品条項に基づき提供されています。特に企業や組織で導入する場合は、以下の点を事前に確認しておくことが重要です。
- 提供機能の範囲と制限
- セキュリティとプライバシーに関する責任の明確化
- 利用可能リージョンと対象ユーザー
2. ネットワーク要件
Copilot in Azureの利用にあたっては、特定の外部接続先に対するネットワーク許可が必要です。
特に、以下のエンドポイントへのWebSocket接続が許可されている必要があります
https://directline.botframework.com
この通信は、Copilotとユーザー間のインタラクションをリアルタイムで成立させるために使用されます。組織のネットワーク制限下にある環境では、ネットワーク管理者に接続許可を依頼することが必要です。
利用手順:3つの方法
① Azure ポータルから利用する
1. Azure Portalにサインイン
2. ポータル右上または画面左下の「Copilot」アイコンをクリック
3. 表示されたチャットボックスに自然言語で質問・指示を入力
- 例:「今月のコストを教えて」「停止中のVMを一覧で表示して」

Copilot in Azureとのチャットイメージ
② モバイルアプリから利用する
1. Azure モバイルアプリ(iOS / Android)を開く
2. 自身のアカウントにサインイン
3. メニューから「Copilot」を選択し、対話を開始

アプリでのCopilot in Azureの利用
③ AI Shell で利用する(CLI対応)
AI Shellは、コマンドライン環境でCopilotを活用するための公式インターフェースです。CLIベースでの操作効率を高めつつ、Copilotの自然言語インタラクションを活かせます。利用には、AI Shell のインストールとセットアップが必要です。詳細はこちらからご覧ください。
Copilot in Azureの料金体系
Copilot in Azureは、現在提供されている機能については追加料金なしで利用できます。Azureサービスの一部として提供されており、従量課金制やサブスクリプション費用に含まれる形で提供されています(2025年7月確認時点)。
ただし、今後リリースされる新機能や拡張機能については、変更となる可能性もあるため、最新情報の確認が推奨されます。
利用可能な言語と地域制限
Copilot in Azureは、以下の19言語に対応しています(日本語含む)。
【対象言語】
中国語(簡体字・繁体字)、チェコ語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、ハンガリー語、インドネシア語、イタリア語、日本語、韓国語、ポーランド語、ポルトガル語(ブラジル・ポルトガル)、ロシア語、スペイン語、スウェーデン語、トルコ語
現時点での主な制限事項
Copilot in Azureは強力な支援機能を備えていますが、以下のような制約も存在します(2025年7月確認時点)。
制限内容 | 説明 |
|---|---|
会話の継続性 | 24時間を超える同一会話は保持されない |
一括操作の上限 | 操作対象は10リソースまで(それ以上は外部ツール推奨) |
表示件数の制限 | 一部の一覧応答は最大5件に制限 |
リソース識別子 | リソース名ではなく、リソースIDの指定が必要な場合がある |
利用頻度制限 | 利用が集中すると一時的にCopilotへのアクセスが制限される可能性あり |
詳細はこちらをご確認ください。
Copilot in Azureの責任あるAIの考え方とセキュリティ
Copilot in Azureは、AIを活用しながらも、組織のセキュリティ、ガバナンス、プライバシー要件を確実に満たす設計となっています。このセクションでは、Copilotの技術的背景、制約、セキュリティポリシーへの対応について解説します。
責任あるAIに基づいた設計(Responsible AI)
Copilot in Azureは、MicrosoftのAI原則および責任あるAIの標準に準拠して開発されています。
- 不適切な応答の防止:多層的な安全装置により、有害な出力や誤解を招く内容を抑制
- ユーザー確認の徹底:重要な操作はユーザーの確認を経て実行
- 品質改善の仕組み:問題のある応答に対するフィードバック機能を提供し、継続的な品質向上を実現
AI出力には予期しない要素が含まれる可能性があるため、出力内容のレビューと検証は運用上の重要な前提となります。
アクセス権に基づく制御と統合(RBAC・ガバナンス)
Copilotが実行できる操作は、ユーザーのAzure上のロールベースアクセス制御(RBAC)によって制限されます。
- RBACとの統合:既存の権限モデルに準拠し、許可された範囲の情報のみ取得・操作可能
- ガバナンス機能との連携:Privileged Identity Management(PIM)、Azure Policy、リソースロックとも連携し、変更管理やアクセス制限を補強
このように、AIを導入しても既存のセキュリティ基盤を損なわずに運用できる仕組みが整っています。
AI出力の活用における注意点(レビュー・検証)
AIによる生成内容には必ずしも正確性が保証されるわけではないため、以下のような場面ではレビューが必要です。
- 本番環境への変更操作
- セキュリティ設定の変更
- コードやテンプレートの生成と実行
たとえば、TerraformやBicepで生成されたコードは、適切なテスト環境での事前検証とコードレビューを前提に活用することが推奨されます。
データの取り扱いとプライバシー保護
Copilot in Azureは、企業のデータ主権とプライバシー保護を最優先に設計されています。
- データはテナント内で処理:リソース情報やプロンプトは組織テナント内で処理され、外部に送信されません
- モデル学習に使用されない:Copilotの出力やユーザーの入力は、AIモデルのトレーニングには利用されません
- 明示的同意に基づく統計収集:サービス改善のための利用統計は、ユーザーの同意を得た場合のみ収集され、個人を特定しない形で扱われます
ログ記録とコンプライアンス対応
Copilotの利用は、監査証跡とガバナンスの観点からも可視化されています。
- アクティビティログの記録:実行された操作、アクセス対象、操作実行者を記録
- Microsoft Purview・Sentinel連携:統合ログ管理により、インシデント調査やコンプライアンス監査に対応
このように、Copilotの導入は、企業のセキュリティ運用やコンプライアンス要件に沿った形で設計・運用が可能です。
まとめ
本記事では、Microsoft Copilot in Azureの概要から具体的な使い方、活用領域、プロンプト設計のポイント、そして導入時の注意点までを幅広く解説しました。Copilot in Azureは、AzureポータルやAI Shell、モバイルアプリなどから自然言語で利用できるAIアシスタントです。クラウドとエッジにまたがる設計・運用・最適化・トラブル対応といった幅広いタスクを支援し、ユーザーの生産性向上と判断の迅速化を後押しします。
状況把握から実行支援、コード生成、ベストプラクティスの提示まで、その機能は多岐にわたり、Azure環境におけるあらゆる場面で活用できます。また、出力結果をより適切なものにするためのプロンプト設計の工夫も、Copilotを効果的に使いこなす鍵となります。
現時点では、追加料金なしで提供されており、初めての方でもすぐに試すことができます。まずはAzureポータル上でCopilotを立ち上げ、簡単な質問から始めてみることで、その直感的な操作性と支援力を実感できるはずです。
東京エレクトロンデバイスは企業のAzure活用・AI導入を支援しています。お気軽にご相談ください。




