Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターとは
近年、AIエージェントは単なる会話の応答だけでなく、データ処理や業務自動化にも活用されるようになっています。 その中でも、Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターは、AIエージェントがプログラムを実行し、計算やデータ解析を行うための重要な機能です。
従来のAIエージェントは、ユーザーの質問に答えることはできても、数値計算やデータの可視化などの高度な処理は難しい という課題がありました。 しかし、コードインタープリターを活用することで、AIエージェントがリアルタイムでコードを実行し、より高度なタスクを自律的に処理できるようになります。
AIエージェントの概要
AIエージェントとは、特定のタスクを実行できるように設計された人工知能(AI)システムです。ユーザーの指示に従い、会話、データ分析、情報検索、コード実行などの業務をサポートします。
コードインタープリターの概要
では、コードインタープリターとは何でしょうか。
コードインタープリター(Code Interpreter) とは、プログラムのコードをリアルタイムで解釈・実行するソフトウェア のことです。通常のプログラムは、コンパイラによって一度機械語に変換された後に実行されますが、インタープリターはコードを一行ずつ解釈しながら即座に実行 します。
コードインタープリターの最大のメリットは、リアルタイムでコードを実行しながら開発できることです。特に、AIエージェントのように動的なコード生成・実行が必要な環境では、インタープリターの柔軟性が活かされます。
Azure AI Foundry Agent Serviceの概要
Azure AI Foundry Agent Serviceは、Microsoftが提供するAIアシスタント開発・運用プラットフォームです。Azure OpenAI Serviceを活用して、様々な業務プロセスを自動化することができます。
Azure AI Foundry Agent Serviceの主な特徴は次のとおりです。
- 高度な会話とタスク処理 :自然言語での指示に基づき、ファイルの解析や複雑なデータ処理を実行可能。
- コードインタープリターを搭載 :Pythonのコードをリアルタイムで実行し、数値計算・統計分析・データ可視化が可能。
- 外部ツールとの統合 :Azure FunctionsやLogic Appsによる業務ワークフローの実行、SharePointやBing検索からの情報収集など、多様なツールと連携し、業務をより高度に自動化。
- マルチエージェント システムの構築: 例えば、1つのエージェントがデータを収集し、別のエージェントがそのデータを分析するなど、専門分野の異なるエージェントが協調して動作するマルチエージェント構成も可能。
これらの特徴が組み合わさることで、Azure AI Foundry Agent Serviceは、単なる対話AIの開発ツールを超えた、企業の複雑な業務プロセス全体を自動化できる、包括的なプラットフォームとして機能します。
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Azure AI Foundry Agent Serviceイメージ(参考:Microsoft)
Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターの主要機能
ここでは、Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターの主要機能についてご紹介します。
Pythonコードのリアルタイム実行
AIエージェントは、ユーザーからの自然言語での指示(例:「最新の売上データを分析して」)に応じて、状況に合わせたPythonコードを動的に生成し、サンドボックス化された安全な環境で即座に実行することができます。
高度なデータ処理
コードインタープリターには、Pythonの強力なデータ分析ライブラリ(pandas, matplotlib, scikit-learnなど)がプリインストールされています。これにより、複雑な数学計算や統計分析、多彩なグラフ作成(棒グラフ、折れ線グラフ、ヒートマップなど)といった高度なデータ処理を、AIエージェントが自律的に実行できます
自動コード修正・再実行
生成したコードの実行中にエラーが発生した場合でも、AIが自らエラーメッセージを解読し、コードを修正して成功するまで処理を再試行します。この自己修正能力により、安定したタスクの遂行が可能です。
ストレージ内のデータを直接統合
Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターは、Azureのストレージサービス等のデータソースと統合可能です。
例えば、Azure Blob StorageやMicrosoft FabricのOneLakeに保存されたデータを、AIエージェントがコードインタープリターを使って分析することが可能です。
Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターの使い方
Azure AI Foundry (旧 AI Studio)のプレイグラウンドを使うと、コーディング不要で、簡単にコードインタープリターを試すことができます。 ここでは、Azure AI Foundry Agent Serviceでコードインタープリターを活用する手順についてご紹介します。
前提条件:
プロジェクトとAIエージェントを作成しておきます。(詳細手順は、以下の記事をご覧ください。)
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コードインタープリターの追加
作成したエージェントに、コードインタープリター (Code Interpreter) を追加します。
- 作成したプロジェクトのエージェントを開き、右側の「セットアップ」の中の「アクション」の「+追加」をクリックします。
アクション追加画面 - 「コードインタープリター」をクリックします。
コードインタープリター選択画面
データのアップロード
分析したいデータをアップロードします。ここでは、fabric_sample_data.xlsxというサンプルデータを用います。
- ファイルをアップロードし(ここでは、fabric_sample_data.xlsx)、「アップロードして保存する」をクリックします。
アップロード保存画面
プレイグラウンドでデータを分析
エージェントを使ってデータを解析・可視化します。
- 「プレイグラウンドで試す」をクリックします。
プレイグラウンドで試す画面 - スレッドで、「アップロードした Excel ファイルの内容を表示してください。」と質問すると、回答がありました。
ファイルの内容表示画面 - 「データの最初の 5 行を表形式で表示してください。」と依頼すると、以下の回答が得られました。
データの最初の5行画面 - 次は、「カテゴリ」ごとの売上を棒グラフにしてください。」と依頼しました。 すると、次のようなグラフが表示されました。
棒グラフ画面
Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターの料金
Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターの料金は、Azure OpenAI Serviceの課金ルールに準じる形になっています。
コードインタープリターを利用する際に発生する料金は、主に2種類あります。
Azure OpenAI Serviceのトークン消費料金
エージェントが処理するテキストの量(トークン数)に応じて課金されます。使用するAIモデル(GPT-4oなど) によってトークン単価が異なります。
コードインタープリターの使用料金
エージェントがコードインタープリターを呼び出すと、1セッションあたり¥4.4852の追加料金が発生します。なお、1つのスレッド内でコードインタープリターを使用すると1セッションとしてカウントされます。
課金の仕組みは次のとおりです。
- 1つのセッションは最大1時間まで有効 同じスレッド内で連続してコードインタープリターを利用しても、1時間以内なら追加料金は発生しません。
- 複数のスレッドで同時に実行すると、その分だけ課金される 例えば、2つの異なるスレッドでコードインタープリターを実行すると、2×¥4.4852(合計¥8.9704)となります。
※本記事に記載されている情報は、2025年3月時点の情報です。変動する可能性があるため、最新の情報については、公式ページで確認してください。
Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターのユースケース
Azure AI エージェントのコードインタープリターは、さまざまな業務で活用できます。以下のようなケースで、業務の効率化や自動化が可能です。
複雑な計算処理の自動化
エージェントに数式を与えるだけで、自動的に計算を実行できます。
例:
- 財務データの統計分析や、物理シミュレーションの計算を自動で処理
- ユーザーが「この数式を解いて」と指示すると、Pythonを使って瞬時に結果を算出
データ分析レポートの自動生成
CSVファイルなどのデータをアップロードし、分析からレポート作成までを自動化できます。
例:
- 売上データを読み込み、「月ごとの売上推移を分析して」と指示すると、データの要約やグラフを作成
- Pythonを活用し、データの可視化(折れ線グラフ・棒グラフ)も可能
外部APIとの連携
Pythonコードを使って外部APIと連携し、エージェントの機能を拡張できます。
例:
- 天気情報APIと連携し、「現在地の天気を取得して」と指示すると、リアルタイムの天気予報を取得
- 為替レートやニュースデータを取得し、レポートに反映させることも可能
動的なコード生成と実行
ユーザーの指示に基づいて、エージェントがPythonコードを生成し、その場で実行できます。
例:
- 「このデータセットから機械学習モデルを作って」と依頼すると、適切なコードを自動生成し、モデルを構築
- ユーザーの質問に応じて、その都度最適なプログラムを作成し、動的に処理を行う
まとめ
本記事では、コードインタープリターの基本概念や機能概要、活用できるユースケース、導入手順について詳しく解説しました。
Azure AI エージェントのコードインタープリターは、AIエージェントがリアルタイムでPythonコードを実行し、数値計算やデータ分析、可視化などの高度な処理を可能にする強力な機能です。従来のAIエージェントが対応しにくかった複雑なタスクの自動化を実現し、より実践的な業務活用を支援します。
Azure AI エージェントのコードインタープリターを活用すれば、データ分析の自動化や業務プロセスの最適化をより簡単に実現できます。これを機に、AIエージェントの新たな可能性を探ってみてはいかがでしょうか?
本記事が、Azure AI Foundry Agent Serviceのコードインタープリターへの理解を深め、皆様のAIエージェント開発や業務改善の一助となれば幸いです。
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